2008年度全難聴大会決議(3) 放送など、権利条約

地上デジタル放送の完全移行のスケジュールに関わらず、全ての障害者に対して、放送のアクセスの放送事業者の責任を法律で義務付ける必要がある。これは、合理的配慮にあたるものだ。
地デジ放送番組が、放送と同時にインターネットで提供される(マルチキャスト)ならば、放送と通信の違いはあっても、アクセシビリティは同等に保障されるべきだ。

交通や防災などの各分野のアクセシビリティの中で、文化に対するアクセシビリティの重要さを指摘したい。


ラビット 記

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6.障害者向けの放送を義務付ける放送法の改正とガイドラインの制定を求めます。
(説明)
地上デジタル放送や衛星放送、放送大学放送、IP放送も含めて、字幕放送・手話放送の実施を義務付けることを求めます。地上デジタル放送の完全移行にあたっては、これまで視聴していた人が見られるようにするのはもちろんのこと、視聴覚障害者等放送アクセス問題の解決には当事者を含めた協議を行い、図ることが必要です。

通信のユニバーサルサービスとして、通信事業者の電話リレーサービスの義務化を求めます。

7.交通、防災、教育、文化施設等のバリアフリー法制定を求めます。
(説明)
 列車・航空機・船舶・乗合自動車等の交通機関および施設への運行情報等の文字表出や、地震・火災等の災害時情報の文字伝達を求めます。また教育現場における講義保障やコミュニケーション支援と環境整備、公衆の集まる劇場や娯楽施設その他文化施設での文字による情報保障、DVDなどの記録系メディアの字幕義務付けなどを求めるものです。

8.難聴者等の諸権利の保障について、国連障害者権利条約への批准に向けた国内法の整理を求めます。
(説明)
 2008年5月3日、国連障害者権利条約が20カ国の批准を得て発効しました。日本でも障害者団体と政府との意見交換会が継続的に実施され、批准に向けての国内法整備の議論が続けられています。本年度中に条約批准という動きもありますが、条約履行のために国内法の確実な整備が何より大切です。

9.難聴者等が関わる施策形成の場への当事者の参加を求めます。
(説明)
 行政機関の設ける各種福祉施策策定に関わる委員会等に、当事者の参加を保障して下さい。障害者自立支援法の障害認定の審議会や、障害福祉計画策定の場に当事者の参加を求めることと、各省庁または外郭団体の設ける委員会に参加を求めるものです。

以上

2008年11月2日
社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会