派遣労働者の就農に複雑な難聴者

1月30日の日経新聞に元派遣労働者が就農に関心を持っていることが報じられていた。

就農には苦い思い出がある。亡くなった父親が機械エンジニアだったので自分もエンジニアになるつもりで勉強していた。
大学を選ぶ際に、父親に志望を話すと「おまえは聞こえないから、機械は無理だ。農業関係に行け」と言われた。
父親から、聞こえないからと言われたのは初めてでショックだった。

父親にしてみれば、土木工で用いる機械はエンジンで駆動し、その調子は音を聞いて異常を判断するというものだったらしい。なので、呼んでも返事をしない我が子には無理だと思ったのだろう。
結局、農学と工学の接点である農業生産工学科の農業機械専修コースに入った。
入学祝いにくれたのは、計算尺だった。カーソルをスライドさせて計算するものだ。エンジニアとしての父親としての愛情だったのだろう。

就農は、厳しい。稲作は生活できない生産者米価なので離農者が多いのだ。政府がこの問題にきちんと対応しないと就農者はまた「政府施策難民」になるだけだ。
それを、政府が「覚悟」をいうのは片腹痛い。それに、御手洗経団連会長まで、就農を勧めるというのは製造業の企業経営者の責任を果たしてから言うべきで、いきなり派遣労働者を路頭に放り出したものの言うことではない。


ラビット 記