前夜式に参列した。彼の想いはいかほどか。

急逝したTKさんの前夜式に参列した。
手元にあった筆談ボードを持って出た。誰か知人と会ったら必要かと思ったのだ。

前夜式が教会であることに気が付いてお悔やみを包む袋を代えた。
着くと牧師の説教が始まっていた。しまった。聞こえない。いつもは仏式のお焼香だけなので要約筆記者の派遣を頼んでいなかった。

障害学の活動のことを話しているらしいがよく聞こえない。心は乱れる。彼も聞こえないし、何でと。
筆談ボードにどなたか要点を書いて下さいと書いて参列者に頼むことも考えたが、筆談ボードに彼へのメッセージを書いて前の椅子にの背もたれのカゴに掲げた。

「長い間ありがとうございました。
牧師さんの説教が聞こえますでしょうか。
私は良く聞こえません。
天国で教えて下さい。」

献花した後、メッセージに「天国で筆談しましょう。」と書き足して、筆談ボードをご遺族に彼の元にと言って渡した。
はっとされて父と一緒に埋葬しますと言って頂いた。

障害者権利条約の批准と法整備にいろいろ相談しなければならない人が逝ってしまった。お知らせをよく読んでノートテイカーを頼まなかったことを後悔した。
遺志を継ぐ気持ちを固めて帰路についた。


ラビット 記