難聴者の相談支援

昨日、K市の難聴者の相談支援担当の方と話していたら、ろう者の相談は「線」だが、難聴者は「点」だと思うと。

ろう者は何かあって相談支援するとその問題は一回で解決しないで、何回か継続的に関わることになる。あるいは別の問題を持ち込んで来て、必然的にそのろう者の生活全般を見なければ本当の支援が出来ないということが分かる。
難聴者の場合は、補聴器のこととか人間関係のこととか問題が明確でピンポイントだと言う。その問題が解決するとたいていそれで関係は終ってしまう。二度と来ない人がほとんどという話だった。

なるほどとは思うが、難聴者が「点」というのは問題の表層の一部しか見ていないのではないかとも思う。
補聴器の相談に来た難聴者は、補聴器店で薦められた補聴器が合わない、もっと聞こえる補聴器はないか、どこで買えば良いのかと聞きに来たら、補聴器で聞きたいことがあったのだろうと考えたい。
何を聞きたいと思ったのだろうか、家の中で、職場で何か聞こえないことで何かあったのだろうか、そうしたことを少しでも引き出せる相談支援が必要だろう。

先の相談支援担当者はそうしたことは分かっていてもなかなか先の支援が出来ないことを悔しく思っているのだ。
難聴者の方が何か自分の聞こえないことを隠したい、恥ずかしいことだと思っていたら支援もなかなか難しいだろう。
社会全体が聞こえないことを理解して、普通に接してくれる環境、難聴者の自覚を促すような場、エンパワメントの場が必要だ。

【このブログの中のピアメンターに触れた記事】
興味のある方は、カテゴリーを「エンパワメント」にしてみてください。
※以前の記事にはURLがハイパーリンクになっていないものがあります。

難聴者のリハビリテーション ピア・メンター・プログラム 2007.4/1
http://blog.goo.ne.jp/hearingrabbit/e/028c2a95c9af592211aa09e5ab78c4dd

人工内耳後のコミュニケーションの変化を観察する(1/2) 2008.1/2
http://blog.goo.ne.jp/hearingrabbit/e/50570875171c920e0907b99aeefd754b

難聴者の自立支援に心理学の必要な理由 2009.7/20
http://blog.goo.ne.jp/hearingrabbit/e/a9b1b675e3788e4bc5f9e3e1872ec30e

障害者政策研究全国集会自立支援分科会と難聴者問題 2009.12/6
http://blog.goo.ne.jp/hearingrabbit/s/%A5%D4%A5%A2%A5%E1%A5%F3%A5%BF%A1%BC