障害を持つ子供たちのアドボカシーは?

障害を持つ子供たちの教育の問題は、学校や教師たち、親たちが障害を持つ子供の要求を代弁している。

しかし、現行制度のなかで、子供の権利条約教育基本法に基づく難聴児教育がどこまで実現できていたのかという懸念がある。
難聴児が普通学校に行ってもお荷物扱いされ、コミュニケーションの保障もないまま「インテグレート」したと称されてきた。
入学に当たっての教育委員会の冷たい対応は枚挙に暇がない。
いまだに人権無視の読話一辺倒の教育、周囲や仲間に理解と教育を求めることすら良しとしない教育が行われていたことも聞く。

難聴児教育関係者がいま障害者権利条約の批准を目指した推進会議の議論が行われているときに、その理念に基づいた施策を要求をしているか心配だ。

障害を持つ子供は地域で育つ。地域の障害者の生活の改革と同じように議論されなければならない。
「インクルーシブ教育の問題とはたんに就学、場の問題だろうか」という目指す会ニュース編集者の感想は正論である。

以前から、教育は障害を持つ人のセルフエスティームの確立、エンパワメントとなる地域社会教育、成人教育が行われるべきと主張してきたことにもつながる。

教育関係者への障害者権利条約の内容と、障害者推進会議の議論への参画を進めてほしい。


ラビット 記

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障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会◆
ニュース 2010.7.26 第50号(通巻158)
http://www.normanet.ne.jp/~ictjd/sui

━━━━━━━━━━MEZASU━━━

◆(1)第17回制度改革推進会議 7月26日 意見交換会文科省関係)

■当日配布資料
 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_17/index.html

■オンデマンド(中継録画)
 http://wwwc.cao.go.jp/lib_05/video/suishin16.html

■概要と感想■
推進会議は、「意見交換等」で、文科省、教育関係団体がヒアリングの対象。
各団体の発言は提出資料の要約。
提出資料を読むと、論点が明らかになる(必読!)

文科省 特別支援教育課長
 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_17/pdf/s1-1.pdf
 
○特別支援学校の立場から
 全国特別支援学校長会、盲学校長会、聾学校長会、肢体不自由教育校長会、
 知的障害教育校長会(病弱教育は肢体不自由校長会が代弁)

○通常学校の立場から
 全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国特別支援学級設置校長会
 全国コーディネーター研究会

○保護者等
 特別支援教育推進連盟、障害種別のPTA会長連絡協議会

<校長会のコーナー>
インクルーシブ教育は特別支援教育と同じ方向という認識のもと、特別支援教育の推進にとって、特別支援学校が大きな役割を果たしていることが強調された。

この間、在籍者が増大し、その改善が課題になっている。
インクルーシブ教育を発展させるための地域社会の働きかけ。
地域支援などセンター的機能も着実に前進・・・

<通常学校のコーナー>
コーディネーター研究会事務局長が発達障害のある子どもが直面している困難について詳細に報告した。

<保護者等>
保護者の声から、現在の議論が現状を反映しない理念先行型であることを批判した。

文科省、校長会サイドの論調をやや図式的にいうと、
<インクルーシブ教育は特別支援教育のもとで、交流・共同学習をもっとすすめることでよい。職業教育を充実させて社会参加をはかることで、共生社会(インクルーシブな社会)も実現する>という描き方。

 学籍(在籍)一元化については、学籍が当年度の教室や教員などの条件整備の基礎であり、それがないところでは予算が付かないと、現制度から批判がされた。

 質疑では、「日本的な(日本独自の)インクルーシブ教育システム」が現状肯定、現行制度の枠内で済まそうとするものではないかという質問が相次いだ。

 また、障害者虐待防止法の通報義務対象施設に学校を含めることについては、「対象施設から除外すべき」に対して、質問、意見が寄せられた。

●藤井議長代理のまとめ
・このままではいけない。
 中教審の特別委員会ははじまる。ダブルトラックでは混乱する
・しかし、「子ども真ん中にして」では一致している。
 「今すぐ」とはだれも言っていない。
・どうやって政策的に合意形成をおこなっていくか。
 知恵を出し合って建設的な合意形成ができるようにすることは各々の宿題。
・今日の議論は中途半端で消化不良ではあるが、まだまだギャップは大きすぎる。
 みんなで考えて、一歩でも前進させよう。

▽感想▽
インクルーシブ教育の問題とはたんに就学、場の問題だろうか?
教育全体・通常教育の改革、そして地域社会の改革をめざすものという権利条約本来の議論を積極的にする必要があるのではないか。
予算などの問題を現行制度の枠内で議論することは大事だが、逆にそこに縛られると、インクルージョンという大きな将来展望が討論できないのでは・・・ ストレスのたまる議論だった。