難聴者のピアメンター、ピアメンターの難聴者

「難聴者のピアメンター」は難聴者に対するピアメンターのことを指し、「ピアメンターの難聴者」はピアメンタリングする難聴者のことを指す。

ピアメンタリングは専門的な技術であるカウンセリングやケースワークを行うのではなく、同じ難聴者から難聴者としての姿勢(意識、考え方)、コミュニケーション方法、支援サービスの利用方法などを助言する。
同じ難聴者の立場で行う活動であり、自己決定権の尊重するためにも、「指導」とは言わない。

ピアメンタリングを受けたい難聴者、受ける必要のある難聴者は、本人が自覚しているいないに関わらず多いと思う。
難聴者協会のような難聴者自助組織もあれば、高齢者福祉施設の利用者に難聴者もいる。
ただ普通難聴者自身は他の難聴者に出会うことが難しい。難聴は外見でわからない障害であること、コミュニケーションの障害であり自ら言いにくい障害、自覚しにくい障害であるためだ。
そのため、ピアメンタリングを受ける機会が少ない。

しかし、ピアメンターとしての難聴者はいないのかというと、ピアメンタリングを意識していないけれども実際には行っている難聴者は多い。難聴者組織のリーダー、役員などだ。
ピアメンタリングとは何か、必要な知識や技術を体系的に学んだわけではないが自然と身につけている。

良いピアメンタリングの出来る難聴者は協会やサークル役員や講師などをしていることが多い。
中途失聴・難聴者向け手話講習会の講師、助手などのスタッフ。同じく中途失聴・難聴者向け読話講習会の講師。

難聴者のピアメンターに求められる資質、必要な知識、支援技術などを明確にしたものはまだない。
全難聴の協会対外啓発活動のコンペを行った事業報告書にその必要性を説いたものが載っている。

東京都の中途失聴・難聴者向け手話講習会のスタッフの半分は難聴者であり、現在中途失聴・難聴者対象の手話の指導方法、対人援助のあり方を検討を続けているがピアメンターの役割を自覚している。

ピアメンターの助言を受けることも制度化されるように、全難聴ではピアメンターの役割も担う「新奉仕員」養成事業の補助金申請を行っているが残念ながら落選した。


ラビット 記