NHK放送技研 伊藤研究主幹に質問。権利擁護の視点はないのか。

5月26日のNHK放送技研一般公開の講演の二つ目。午後2時から。
「人にやさしい放送」というのは、二つの意味があるだろう。1つは操作性が高い。ユーザーフレンドリーな操作ができること。もう一つは障害に対するバリアが低いこと。誰もがアクセスできるアクセシビリティが確保されていることという意味だ。

しかし、「やさしい」という言葉にはできるだけのことはしてあげますよという善意の配慮のような互換を感じてしまう。東日本大震災が勃発した際に字幕放送のない画面を見て、聞こえない人、聞こえる環境にない人にテレビの声が届かないことに強い焦燥感をもった身では、一番肝心な時にNHKが対応しなかった、「生命を守る権利」が保障されなかったということに怒りを感じてしまう。
「誰しもが平等に情報が受けられる放送」、「権利擁護としての字幕放送」を求めたい。

伊藤氏に質問。
1)3月11日、東日本大震災が発生した日にNHKが常時字幕放送が実施できなかった理由は何か。
首相官邸の記者会見が行われたときに字幕放送が実施されなかった理由は何か。
1年前のチリ大地震津波警報の報道で臨時ニュースに字幕放送がないことが指摘されてからどういう対応をしてきたのか。そのことが、なぜ3月11日に対応できなかったのか。

2)放送は「やさしい放送」であるだけでなく、「権利を保障する放送」という視点はどう思うか。
聴覚障害者のみならず、外国人、聴覚により放送が受容できない人々の放送は情報アクセス権利、生存権に関わるという観点が必要でないか。
マイノリティへのサービスという考えを脱却し、ユニバーサル・サービスとして字幕放送が必要である認識に建てないか。

ラビット 記
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人にやさしい放送の充実に向けた研究開発。
NHK放送技術研究所 研究主幹 伊藤 崇之
だれにも等しく的確に情報を伝えることは、安全安心社会を築く上で必要不可欠であり、また公共放送機関としての責務でもある。NHK放送技術研究所では、人にやさしい放送の充実を実現すべく、視覚障害者、聴覚障害者、高齢者を含め誰にも放送サービスを等しく受けていただくための研究開発を、研究所の方針の一つの柱として、積極的に推進してきた。これは平成21〜23年度NHK経営計画の中でも謳っているところである。本講演ではこのような「人にやさしい放送技術」の研究開発について、字幕放送や解説放送の充実に資する研究開発のみならず、デジタル放送時代の新しい機能を利用した技術やさらに今後の放送・通信融合時代の特徴を利用した技術などを含め、放送サービス充実のための技術とテレビをはじめとする情報機器のバリアフリー化に資する技術の研究開発の全体像を示した上で、人にやさしい放送の将来を展望する。
http://www.nhk.or.jp/strl/open2011/lecture/lecture526.html