全国在宅障害児者等実態調査に、聴覚障害を問う設問がない。

実態調査については、先の総合福祉法部会の資料に、
「資料3生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)の基本骨格(修正案)について」がある。

下記にあるように、「生活のしづらさ」を図るのに、「食事をする」「食事のしたく、後片付けをする」「衣服を脱いだり、着たりする」、「排泄をする」、「入浴をする」、「家の中を移動する」とか身辺的動作が出来るかどうかを具体的な場面をあげて問う他、洗濯、買い物、金銭管理まで問うている。
しかし、難聴者やその他の障害者の「意志疎通」が「自分の意志を伝えることが出来る」、「相手の意志を理解できる」と言う設問になり、その回答の選択肢が「誰でも理解できる」、「家族や友人なら理解できる」とあるようにこれは聴覚障害者を想定した設問ではない。
そこに「介助(手話通訳や機器の使用等)があれば出来る」と取って付けたような選択肢がありが、聞こえない人がどのように困っているのか、どの程度の人が困っているのかがちっとも浮かび上がらないだろう。
こんな設問では難聴者や聴覚障害者の日常生活における困難度は推し量れない。

私たち難聴者は、聞こえる人に取っては当たり前の「電話をかける」、「テレビを見る、ラジオを聞く」ことが困難です。「地域の集まりやPTAなど複数の人との会議、集まりの内容が分かる」、「集会や講義が分かる」、「街頭や車内のアナウンスが聞こえる」かどうかが重要だ。
「意思の疎通」の具体的な場面を聞かなければ「生活の困難度」が分からないということです。
谷間の障害者である難聴者は、おそらく補聴器等は使っていない。これらの人に「機器を使えば出来る」とは答えることにはなら、では「誰にでも伝えることが出来る/誰の意志でも理解出来る」と選択するのかというと違う。つまり回答の選択肢がない。
難聴者、聴覚障害者のことを全く理解していない欠陥調査でないか。

総合福祉部会 第16回
H23.7.26
資料3
生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)の
基本骨格(修正案)について

http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2011/07/dl/0726-1a13_01.pdf
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2011/07/txt/0726-1_7.txt


問9 おおむねこの6ヶ月(平成○年○月○日〜平成○年○月○日)の間の日常生活
を送る上での生活のしづらさはどのようなものでしたか。あてはまる状態に
○を1つしてください。

自分の意思を伝える
1 誰にでも伝えることができる
2 家族や友人など特定の人には伝えることができる(特定
の事柄についてのみ伝えることができる場合も含みま
す。)
3 介助(手話通訳や機器の使用等)があれば伝えること
ができる
4 伝えることができない

相手の意思を理解する
1 誰の意思でも理解することができる
2 家族や友人など特定の人の意思は理解することができ
る(特定の事柄についてのみ伝えることができる場合も
含みます。)
3 介助(手話通訳や機器の使用等)があれば相手の意思
を理解することができる 
4 理解することができない

ラビット 記