こんな旧態依然の要約筆記者派遣制度が・・・

Googleでヒットした要約筆記事業の記事にびっくり仰天した。
兵庫県加古川市の要約筆記者派遣制度は、障害者自立支援法の制度の理念に照らしても、ましてや改正障害者基本法の障害の考え方に照らしても即改善すべきだ。

対象者が、「適当な付き添いがいない場合」とあるのは家族や親などの同行や「通訳」を想定しているかもしれないが、聴覚障害者の自立を阻害する条件だ。
とても障害者自立を促進する障害者施策を執行する行政が言うべきことではない。
派遣対象が身体障害者手帳を有する聴覚障害者となっているが、障害者自立支援法は「意思疎通が困難な障害者」が対象であって、身体障害者手帳の所持を条件とすべきではない。同法の地域生活支援事業の趣旨からして、同法の障害者の定義による自立支援給付と異なり、ひろく定義するのが当然だ。
「3 対象者
 聴覚、言語機能、音声機能、視覚その他の障害のため、意思疎通を図ることに支障がある障害者等」
身体障害者福祉法地域生活支援事業コミュニケーション支援事業実施要項、(別記2))
http://www.jupiter.sannet.ne.jp/to403/hourei/chiiki.html#bk2

派遣範囲が、他の市町村に比べて、公的機関、医療機関、その他権利義務に関わる場合と、聴覚障害者の日常生活のごく一部しかない。
行政サービスの利用にあたっては自治体が聴覚障害者との意思疎通を図る用意をするのは当たり前で、障害者自立支援法にも市町村の責務になっている。
職員が手話や筆談を使ったり、あるいは要約筆記も含めた設置通訳を使うべきだ。カウンター用磁気ループ、補聴器具を使うなどの努力が必要だ。聴覚障害者の派遣制度によるべきではない。
障害者自立支援法第2条三項
「三  意思疎通について支援が必要な障害者等が障害福祉サービスを円滑に利用することができるよう必要な便宜を供与すること、」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/02/tp0214-1c1.html

これでは、地域で開かれている各種講習会やサークルの集まりなど文化的な生活も冠婚葬祭の地域の重要な行事、付き合いにも参加できず、町内会、老人クラブなどの自治組織の会合にも参加できない。
聴覚障害者が一日の中で複数の場所で通訳を必要とすることは良くあることだが、病院と役所が離れていたらそのバスなどの移動費は聴覚障害者の負担となってしまう。通訳の移動費は別途支給されるのだから、聴覚障害者に負担させるべきではない。

こういう市町村はまだあるのではないか。

ラビット 記

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コミュニケーション支援事業 - 加古川市
手話通訳者、要約筆記者の派遣事業.
聴覚障がい者が円滑な意思の疎通を図るうえで支障がある場合に、手話通訳者や要約筆記者を派遣します。
... 1で登録した者が、手話通訳者や要約筆記者の派遣を受けようとするときは、派遣申請書を提出します。 ...
http://www.city.kakogawa.lg.jp/18,43675,175,848.html
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コミュニケーション支援事業
◎手話通訳者、要約筆記者の派遣事業
聴覚障がい者が円滑な意思の疎通を図るうえで支障がある場合に、手話通訳者や要約筆記者を派遣します。

○派遣対象者
下記のすべてに該当する者。
本市に居住する、身体障害者手帳の交付を受けている聴覚障がい者。(手話通訳者の派遣にあっては、手話によって円滑な意思の疎通を図ることができる者。)
満18歳以上の者で、適当な付き添いを得ることができない者。

○利用の手続きの流れ
1 登録
派遣を受けようとする者は、あらかじめ加古川市に派遣対象者の登録をする必要があります。
2 申請
1で登録した者が、手話通訳者や要約筆記者の派遣を受けようとするときは、派遣申請書を提出します。
○利用の条件
手話通訳者や要約筆記者の派遣は以下のいずれかに該当する場合に行います。
・各種届出又は相談等のため、官公庁、学校等の公的機関へ赴く場合。
・病気、出産、健康管理等のために、医療機関へ赴く場合。
・対象者の権利又は義務に関わる重要な用件の場合。
・その他、市長が特に必要と認めた場合
3 審査・決定
2の申請があったときは、その内容を審査し、派遣決定の可否を申請者へ通知します。

○利用したときにかかる費用
制度の利用料金は無料です。ただし、待ち合わせ場所から業務を終えるまでの手話通訳者や要約筆記者の移動に要する費用は負担が必要です。

◎手話通訳者設置事業
聴覚障がい者の市役所等での諸手続の手話通訳、その他相談があった場合の各種機関への仲介等を行っています。
勤務日等
勤務は毎週月曜から金曜日の9時から16時までです。窓口は市役所障がい者支援課です。