聴覚障害者の拠点の移転の意味。

職場の事務所が31年ぶりに移転する。
東京の聴覚障害者の生活と権利を守る拠点となっていた事務所を移転することは、いろいろな意味がある。
事務所を支えてきた先人たちの人に言えない労苦があった。今の事務所を整理しながら、古い職員は過去にあったいろいろなことを思い出しているに違いない。
組織のたち上げの時、選挙の立ち会い演説会に手話通訳を付けた時、ろう・重複障害児者の施設を建設する運動、障害者自立支援法施行の際に予算が大幅に削られた時・・・
一方、2004年以降の職員は何を思っているだろうか、狭かった事務所が広くなって、書棚も増え、きれいになった意味はこれからの事業展開に備える意味があることを理解して欲しい。
東北地域のろうあ老人たちは大震災の際文字も分からなければテレビに手話もないという中で非常に心細かったという。そうしたろうあ者はこの東京にもいる。
コミュニケーション支援と生活支援の必要な聴覚障害者は高齢難聴者にも多い。
発達するIT技術はメディアも拡大するが手話も字幕もない。我が国は電話リレーサービスがないのでろうあ者、難聴者は世界の最先進国のはずなのに電話が出来ないままでいる。
IT技術による手話と字幕による情報通信アクセス保障サービスは必ず拡大する。
過去の歴史で果たしてきた意味とこれから果たさねばならない課題の二つの重さを感じた。

ラビット 記