新法の意思疎通支援事業の問題とは?

障害者自立支援法を廃止して、障害者総合福祉法になるはずが、名称を変えただけの障害者総合支援法になったため、問題がそのまま残っている。

障害者総合支援法の意思疎通支援事業の問題とは何か。
・地域生活支援事業であるため、派遣の範囲、対象が市町村の裁量に任され、地域格差がなくならない。

・実施要項で利用対象を身体障害者福祉法聴覚障害者とされれば障害者手帳を持った人に限られてしまう。

・新規事業で必須となっても都道府県の裁量で広域派遣事業の範囲・内容はまちまちになる。

・統合補助金のため、年度途中で派遣数が増えても国の補助金の増額ができない。以前の支援費制度に似る。

・限られた統合予算では通訳者の身分保障に見合う報酬が支払えない。

・必須事業とはされていない設置通訳や派遣コーディネーターの費用が予算化されない恐れ。

・奉仕員養成が通訳者養成でないことから、社会啓発、共生社会の理解者としての要約筆記奉仕員の養成事業に変わる事業がなくなる恐れ。

コミュニケーション支援の意思疎通の「仲介」から「支援」に変わったのは盲ろう者の通訳・介助者、手話奉仕員、手若奉仕員までを総称するためだろう。
そのためにこれまでの手話通訳者、要約筆記者を区別するために「意思疎通支援の従事者のうちとくに専門性の高いもの」という言い方になっている。

総合支援法は、障害者権利条約、障害者基本法の理念にかけ離れている。新法の限界、その理由を見極めて、粘り強く、県と市に改善の要求をしよう。
静岡県のように、かなりのことと実現している例もある。

ラビット 記