手話の覚えられない難聴者に。

地下鉄車内で、Hさんによく似た人を見た。
Hさんは昔難聴者の会の会員で、いつも箱型の補聴器を相手の口元に差し出して聞いていた。
その後、難聴者対象の手話講習会にも通われていたようだがとうとう自分の話を表現出来る程には上達しなかった。
Hさんは講習会で講師やクラスメイトの手話が単にひらひら舞っているようにしか見えなかったのかしら?

Hさんは自分で話せるし、磁気ループのある場合はかなり聞き取れている。
多分、言葉を視覚的にとらえられなかったのではないだろうか。視覚的にとらえるということは、手の動く方向や速さの物理量を言葉という概念に置き換えることになるので、脳内作業としては高度なレベルではないか。
音声でコミュニケーションする難聴者には音声でアクセス出来る環境を拡大する必要がある理由だ。一方で、Hさんのような難聴者に手話を身に付けてもらうにはどうしたらよいのか?最初はHさんも名前やおはようございますくらいは覚えたかもしれない。問題はその後だ。

ラビット 記