台風15号と人工内耳(1)

人工内耳は、雨の音が聞こえる。雨粒が傘にあたる音も地面に落ちる音も聞こえる。

傘にあたる音は「バラパラ」か「バラバラ」のようだ。
地面に落ちる音は今日のように雨足が強いと「シャー」と聞こえる。「ザー」とは聞こえない。

補聴器では聞こえなかった音だ。

ラビット 記

台風15号と人工内耳(2)

台風15号の接近で勤務先も午前中から早退の指示が出ていた。

この部署ではどうするのかと思っていると夕方になって定時前に女子派遣スタッフが帰り始めた。
しかし、男性は社員も帰らない。変だなと思いつつ、長靴を履いてポンチョを着て駅に向かう。
駅に着くと電車が止まっている。

そうかあ、皆は電車が動いていないことを知っていてそういう会話をしていたのだ。
こっちはそれが分からないので駅に着いてから知ったという訳だ。

雨に濡れるくらいならまだしも重大事故や火災だったら大事だ。

ラビット 記


台風15号と人工内耳(3)

ちょうど台風15号が通過中に退社して駅に向かった。

ポンチョは失敗だった。レインコートタイプの方が風にめくれなくて済む。傘をすぼませながらポンチョの端を押さえて前屈みに歩く。
ポンチョがめくれ、傘が飛びそうになる。あっ、聞こえない。耳に手をやると人工内耳がない。傘の骨に磁石がついてはずれたのだ。
あわてて傘を見るとない。めくれたポンチョに引っかかっていた。地面に落ちると水浸しだ。危うくつかんでポケットにしまう。

雨に濡れるは、何も聞こえないは、まくれたポンチョで何も見えないはで駅に向かって歩く。

駅に着くと、規定値を越えたので運転を見合わせているとある。構内の階段には何人も座り込んでいる。
あちゃ。

ラビット 記

難聴者支援はバリアフリーだけでは不十分。

難聴者は見えない障害、外見でわかりにくい障害とよく言われる。
また情緒不安定、わがまま、自分勝手とかという評価もされやすい。
難聴は言葉が聞こえない音情報が入らないというコミュニケーションの障害の他に人や社会との関係が築けなくなると言う関係性の障害を持っているということを説明しないと、そのための支援が受けられない。
情緒不安定とか心理的な問題であれば臨床心理専門家の相談(カウンセリング)が必要だが、関係性の障害となれば障害の自己理解、補聴器やコミュニケーション機器の活用、福祉、就労、教育など分野ではそれぞれ専門的支援などが求められる。

幅広い支援が必要にも関わらず、どういう障害を持っているかが理解されてこなかった。
このことが難聴者に対する相談支援事業がなかなか進まない一因ではないか。
情報・コミュニケーションの保障だけでは解決しない問題だ。

ラビット 記
※深夜に自炊したラーメン。もやし、蒸し豚、アスパラ、海苔。醤油味の濃厚スープを溶いて作った。

京王線は、まだ動かない。

20時を回ったがホームの時刻表は15:48のまま。
4時間以上止まっていることになる。

マクドナルドにいるよりも少し暖かい風のあるホームの方が服が早く乾きそうだ。

おっ、電車がくるという表示が一瞬点いたがまた消えた。
あっ、電車の明かりだ。乗れるかな。

ラビット 記

今も制度改革の取り組みが進められている。

台風で電車が停車していた間も、9・27全国集会のスローガンや署名の提出の準備に追われているメールが飛び交っていた。

情報・コミュニケーション法の制定か、情報・コミュニケーションに関わる法整備か。
「すべての障害者の」が追加された。
署名が100万人を越えたのは確実だ。8月初めでも半分にも届いていなかったのに。
総理大臣に手渡せるか、折衝が続いている。

議員は、本当に聴覚障害、難聴に理解がない。
何でか。保守政党の総理大臣を務めた某議員など重鎮には補聴器をつけた難聴者もいるのに。
秘書と話をするときは補聴器をしているが来客があると外す議員もいると聞いたが施策以前の問題だ。

地方レベルでは、要約筆記者派遣制度の陳情に行ったら聴導犬を知っているかと聞かれて目がテンになった例もある。犬が通訳するか!


京王線、運転再開。スロー運転だ。
そんなに混んでいない。途中で停車していた電車かも。

ラビット 記