なぜ退社されるのかはわからないまま


051026_0850~001.jpg昨日で長く働いてきた女性が退社された。
昨年の春、急に耳が聞こえなくなってしまったとメールがあり、全難聴が発行した小冊子「耳のことで悩まないで」を渡してすぐに病院に行くように勧めたことのある人だ。
私は、日頃から社内でも人間関係が希薄なので、なぜ退社されるのかは聞かずじまいだが、理由が分からないのは彼女に限らない。
会社にはグループウェアもあるが個人的なやりとりはしないでいる。聞こえない私はグループウェアの導入でいろいろな情報が入ることを期待していた。確かに、業務連絡のような情報は回覧のように遅れたり、行方不明にならずに届く。
しかし、「ちょっとした話」、「どうもらしいよ」という情報はサイバーなコミュニケーションではまず入らない、普通は立ち話、おしゃべり、飲み屋とかインフォーマルな形で「話す」のだ。
それは話した方も文字にするまでもない、重要なものと考えていないので、書くということはまずない。書く手間の問題もあるが、後に残したくないかの理由か。他愛ないメールをする人だって多いのだから、書く手間ではなく、相手と一歩踏み込んだ関係ができているかどうかかも知れない。

上司からは社員以外はグループウェアには個人名で登録しないことにしたい、コミュニケーションは対面の会話、電話、会議、メールで十分図れると言う。
日頃からコミュニケーションと情報の共有を標榜する上司はサイバーなコミュニケーションを制限することにしたいらしい。
それでは、音の世界ではコミュニケーションが困難な私はとても困ってしまう。

先の彼女は数年分のメールデータもアドレス帳もためらいもなく一瞬にして消去して、退社していった。メールって、そんなものかもしれない。

ラビット 記

(写真)田んぼで刈り取りを待つ稲