手話通訳と要約筆記者派遣事業のコミュニケーション支援事業 

地域生活支援事業のコミュニケーション支援事業は要約筆記者派遣事業と手話通訳派遣を実施するものだが、ほとんどの市町村では要約筆記者派遣事業は実施されていない上、難聴者組織から実施を働きかけが行われていない場合は手話通訳派遣事業のみが実施されるかも知れない。

なぜなら、「聴覚障害者=手話」というのが社会通念となっており、東京都の区市の障害福祉課担当者ですら、つい半年前には要約筆記を見たことも聞いたこともなかったのだ。
実際に東久留米市ではコミュニケーション支援事業に要約筆記は入っていなかった。
さらに障害者自立支援法の第77条2項には、手話通訳等聴覚障害者の意思疎通の仲介をするものの派遣をするとあって、要約筆記は厚生労働省規則には手話通訳等にあたるとされているが普通は分かりにくい。

障害者自立支援法で派遣されるのは「要約筆記者」であることがなかなか理解されていない。
要約筆記者は現在のところまだ養成されていないので、コミュニケーション支援事業実施要項には要約筆記奉仕員を含むとされているが、これはそのまま派遣されることにはならない。

要約筆記者や難聴者組織の中にも、「そういうことは実施要項に書いていない」と言う人もいるが、要約筆記奉仕員派遣事業がなくなって、要約筆記者派遣事業になったのはなぜか考えて欲しい。
奉仕員しかいなくて、要約筆記者が誕生するのが後なら、その時に変えれば良いのにそうならなかったのはなぜか。
要約筆記「者」にならねばならない背景と必然性があったのだ。

三位一体改革の巨額の補助金削減による「サービスの効率化」、施設から地域福祉重点への施策転換、障害者の権利意識の高まりによる支援サービスの制度化、やはり権利を求める難聴者の書ける要約筆記者の需要がある。

これまで私たちは難聴者の権利を守るために活動してきたと良く聞く。
難聴者の権利を守る要約筆記を要約筆記奉仕員が提供出来ているのか?
自分たちの活動の評価を求めるなら、毎日聞えの不自由な生活、差別を受けている私たち難聴者の状況はどうするか。

奉仕員では、難聴者が「権利を行使する」ために利用できない。「評価してあげなければ(感謝しなければ)せっかく一所懸命やってきたのに」と言われるのでは、気兼ねしながら依頼するのでは、依頼するのもためらってしまう。行政のサービスは奉仕員では提供されない。立場が違う。060729_1137~001.jpg060729_1137~002.jpg

ラビット 記
写真は、自動車免許で運転するスーパーバイク。220万円。