H市の市議会議員への要望 要約筆記派遣事業の有料化

2007年2月16日
○○ ○様
いつもご苦労様です。

H市は、平成19年度予算で、障害者自立支援法に基づく地域生活支援事業を実施し、その中に聞こえない人が利用する手話通訳と要約筆記者派遣事業の利用料を有料化する考えです。先週の2/6頃に予算の内示が出ています。
手話通訳や要約筆記は、コミュニケーションの保障のために必要なサービスでこれまで無償で実施されていたものですが、有料化されると役所に行くにも買い物するにも病院に行くにも通訳料を10%負担になってしまいます。

要約筆記は、手話の出来ない難聴者、中途失聴者が利用するいわば文字で行われる通訳ですが、この派遣は市で養成したものと東京都で養成した要約筆記者がいます。
市の考えでは、市で養成した人はボランティアレベルなので、無償で派遣し、東京都で養成した人は技術も高いので、一部負担してもらうと言っています。
しかし、聞こえない人が通訳を依頼するときはきちんとした人に通訳してもらいたいのが普通で、こっちに頼めば無料、こっちに頼めば有料というのは、みな無料のほうを選択しますが、それでは通訳の質が保証されないというのもおかしな話です。

地域生活支援事業には、車椅子の方が利用する移動支援事業もあり、こちらは障害者自立支援法が出来る前には支援費制度で10%の自己負担がありました。障害者自立支援法が成立し、施行後は地域生活支援事業で実施されますので、そのまま10%の負担があり得ますが、おなじ地域生活支援事業のコミュニケーション支援事業はそれまで障害者社会参加促進事業で実施されてきて、無料でした。
それまでの制度の違いがあるのに、無料だったものを有料にするのは理不尽です。
コミュニケーションは、生きていく上で不可欠です。しかし、そのために手話通訳や要約筆記者を使う度にお金を支払うのではその利用を抑制してしまいます。病院へ行くのにお金が余計にかかるのでは依頼するのを止めてしまおうと思うことにもなります。そうすると早く治る病気も快速が遅くなることもあります。

どうか、この無料だった手話通訳と要約筆記のサービスを利用する有料化を止めさせて欲しいのです。
すでに、△△議員が聴覚障害者団体等を障害福祉課の課長に引き合わせたようですが、まだ市の考えを聞いたというだけの段階です。
△△議員は、前のH市聴覚障害者協会の会長と親しかったらしいですが、障害者自立支援法の応益負担を間違えて理解しています。法律で10%の負担が決まっているのは個別給付事業であって、地域生活支援事業は事業給付で10%と負担とはなっていません。市町村の裁量に任されています。
地域生活支援事業の中の移動支援事業が支援費制度のときは10%の負担になっていましたが地域生活支援事業となったので、義務的経費にはなっていないのです。障害者の負担も義務ではありません。
まして、コミュニケーション支援事業はこれまで社会参加促進事業で、無料で行われてきたものです。これがより良いレベルの通訳を求めるからといって有料という考え方も許されません。

コミュニケーションは聞こえない人だけではなく、聞こえる人にも必要なのに、聞こえない人だけ負担するのはおかしな話です。