障害者権利条約の文字通訳について


障害者権利条約に盛り込もうとした文字通訳について

国連第8回アドホック委員会で、我々が全力で盛り込もうとしたことは「文字通訳」を手話通訳と同じように並べて記述することだった

これは、欧米のように音声をそのまま文字に変えて表示するキャプショニング(字幕制作)ではなく、音声コミュニケーションにおいて、読んですぐに理解できるように元の言葉を非音声要素の意味も含めて、積極的に要約し、文字で表示する「通訳」としてだった。

全難聴では、日本の要約筆記は、この言語処理の専門性と対人支援の専門性を持つ社会資源と位置付けている。


これを私たちは英語では、speech to text interpreter と表現していた。
しかし、議長テキストに対する国際障害コーカス案にはvoice to text となって、information technology の中に列挙されていた。

これは、国際難聴者連盟のマルシア・ドゥーガン理事長は国際障害コーカスのメンバーに多くのメールを送ってアピールしたが音声認識技術とかを想起されたのかも知れない。

第8回アドホック委員会で採択された条約には、文字表示display of text がコミュニケーションの定義に入っている。

これはコミュニケーションが、言語、文字表示、点字、触覚によるコミュニケーションと並んでいるので表示された文字で行われることを意味する。
この言語は同じ第2条の定義で音声言語、手話、その他の形態の非音声言語と示されている。writingは筆記で書くという動作を表している。

マルチメディアのアクセシブルな技術も含むということで、音声認識技術による方法などを示していると考えられる。



第9条アクセシビリティ2項(e)、第20条移動の自由(b)のライブアシスタンスは、様々なガイドヘルパー介助犬など人的支援、訓練された動物の支援を意味し、手話通訳の専門家を含むとしているが、これに要約筆記が入るのではないかということも最近、指摘があった。

速記タイプや音声認識、パソコン要約筆記を字幕制作(キャプショニング)とする活動もあり、関係者との協議も必要だろう。
聴覚障害者には様々な形式、様式のコミュニケーション手段を選択する権利がある。


まさに「障害」は形成しつつある概念だ。


ラビット 記