アメリカの難聴児への支援


サンフランシスコの風さんが、ハワイに移住して、初めてのメールが届いた。


引っ越したばかりで始めたのが、難聴の中学生の男子に個人教師をするという。
こちらも来年の始めに、難聴学級の先生と親に対して講演を頼まれているが、権利条約のインクルーシブな教育の方向は難聴児の場合、どういうもになるのか具体的なイメージが浮かばないこともあり、何を話すべきか迷っていることを伝えたら、早速返事がきた。


個人教室と言っても、自宅で教えるのではなく、難聴児の通う中学校で普通教科の先生や特別クラスの先生と個人別教育計画の策定に加わり、教室内で特別指導もするという、補助教員のようなかなり幅のある役割を持つらしい。


こうした対応が取れるアメリカの教育システムは、その資格や費用の負担はどうなっているのだろう。
聴覚障害者に対するカウンセリングの資格を持っている彼女にはぴったりたが。
我が国の難聴児教育はろう教育と違って当事者団体の関与はないに等しい。
我が国ではかなり重度の難聴児のみ難聴学級のクラスに編成され、聴覚活用だけを強いられて、難聴者としてのロールモデルを与えられていないような気もしている。


ラビット 記

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ラビットさん
私の仮の仕事は内容によってはカナダバンクーバー大会まで続くかも知れません。


私が個人教師をするのは中学生6年生(アメリカの中学は6、7、8年の3年間)の男の子で、去年までは小学5年にいたので担任も授業も皆同じでクラスの規模も小さかったのでそんなに遅れが見られなかったのですが、今年に入って様々な専門教科とその数いる教師、クラスのたびにかわるクラスメートと教室、といった変化が原因なのか、学力が急に落ち込んでいるのです。
先週と今日見学したところ、上記のような要因もさることながら、休み時間やお昼休みに友達と一緒にいないでぽつんとクラスにいるところを見ると、どうも難聴のため仲間から疎外されている?感じなのです。
それか、本人がうつ状態になっている可能性もあります。


いずれにしても私の仕事というのは、専門教科の先生方と協力して、彼のためにさらに補助チューターとして手話を使ったり、専門教科の先生にどういう風に話したら難聴児が聞き取りやすいかとか、補聴援助装置の正しい使い方とかを説明したり、場合によってはその子を教室の隅に呼び出して苦手科目のところを特訓してあげたり、手話を教えたりとかなりフレキシブルな業務内容です。

特殊学級にも通っている子なのでそこの先生とも話し合って彼の特別プログラムをこれから考えるところです。



なお、これは日本でも最近始まった特別支援教育?だったか、そういう個人別教育プログラムと大いに関係しています。
その子のために年に最低一回は関わる教員すべてによる(それと親)個人教育計画ミーテイングがあります。私はそれにも参加して難聴者の立場から意見を言うことになります。


そうですね、小さいお子さんの場合、親がまず障害をどう受け止めているかでその子の受けられるプログラムがかなり決まってくる場合が多いです。


私が働く学校はかなり僻地なので、その子の親が難聴児学級の或る都会へ通わせたくないのです。何しろ片道バスで2時間かかるので。
ということで普通学級の中でなんとかがんばってくれという親の希望なのです。
障害が恥ずかしいとかそういうことではないのですが、ただでさえ気難しい12歳前後の中学生のことなのでどうなりますやら。


音入れのレポートして下さい。


ハワイの風より