要約筆記と難聴者の関わり方

難聴者が要約筆記に関わる必要はあるだろう。
だが関わり方を考えなければならない。
【難聴者の要約筆記の理解】
難聴者の要約筆記を心情的ではなく、理論的に理解する必要がある。
要約筆記で出来るだけたくさん書いて欲しい、要約筆記で冗談も聞きたいという心情は理解しても、要約筆記で何を得るか、何をさせるかは別に考えなければならない。

コミュニケーションの成立を図るなら、話された言葉を全て文字化する必要はないこと、意味の伝達を目的とすること、話されることと同時に進める作業であること、話言葉の特徴や場と情報の共有などで表出内容が合理化されていることなどを理解していなければならない。

さらに、社会福祉サービス、障害者福祉と要約筆記との関係の理解も不可欠だ。
今なら社会福祉基礎構造改革から支援費制度、障害者自立支援法、国連障害者権利条約の流れなどだ。

【難聴者の要約筆記の関わり方】
難聴者は要約筆記の指導する際に自らの体験を普遍化し、理解してもらう必要がある。
要約筆記者が様々な場面の現場での対応が必要なためだ。
指導する難聴者が要約筆記を利用する体験を持っていることは当然だが、要約筆記者よりは現場体験は少ない。病院に一年間行ったことがないとか家族に頼んでいる人もいるだろう。派遣される要約筆記者はそうはいかない。
難聴者の関わり方を考える所以の一つ。

難聴者にとって、講習会で「教える」だけが関わり方ではない。
その一つが要約筆記者養成講習会のプロデュースとマネジメントだ。
カリキュラムに基づく講習会の企画立案、指導内容の検討と講師選任、講師会議の開催。自治体への説得、交渉など要約筆記者養成事業の管理運営に関わることが出来る。
事業体の職員、あるいは運営委員会として関わる。

れないから、市町村もう一つは、啓発だ。要約筆記を社会に普及すること、難聴者に利用を促進することは難聴者協会としての基本的役割だろう。
企業に要約筆記者派遣の受け入れなどは権利条約の批准に向けて、今後強化しなければならない活動だ。
アメリカでは電話リレーサービスが通信事業者の義務になっているが今でも電話リレーサービスに理解をしない企業や個人が多い。
そうした企業や人々に理解をしてもらう活動をアウトリーチというが通信事業者も難聴者協会の支部が積極的に行っている。

【要約筆記者の守秘義務
要約筆記を利用した難聴者協会の会員の体験を集めてフィードバックすることは必要かもしれないが、一般利用者の場合は登録要約筆記者あるいは事業体でないと難しい。
事例研修のケースワークには難聴者は入れない。
個人情報、守秘義務に関わるからだ。

要約筆記の利用は協会の会員だけではない。広く社会の難聴者などが利用する社会福祉サービスなのだ。


難聴者協会も関わり方を変える必要がある。


ラビット 記