難聴者数とデジタル放送への要求

放送のバリアフリーの必要のある難聴者の確定した数は必要だろうか。

聞こえに支障のある人が、テレビが聞こえるかどうかは見ている環境にも違うし、何を見ているかにもよる。
家族が会話していればテレビは分からないし、ニュースのアナウンサーが話しているのは分かるが、ドラマの出演者は分からないとかいろいろだろう。

テレビの視聴に支障があるという意味ならかなり大きな数字になる。
高齢者人口が2700万人を超えており、後期高齢者が1000万人を越えていることも統計で出ている。
http://www.stat.go.jp/data/topics/topi241.htm

これに、筑波技術大学のテクノレポート(デジ研報告書にもある)でテレビの視聴に困る人が50%前後もいるので、1350万人はいることになる。
http://maroon.way-nifty.com/welfare/files/digital_jimaku_housou_shishin.pdf

良く言われる難聴者人口の600万人というのは阪神大震災の起きた1995年の前年の朝日新聞社説10月10日付け「難聴化社会対策を急ごう」に載っている数字で、平成6年の全国社会福祉協議会の「補聴器普及および音環境に関する調査研究報告書」にも載っている。
http://www.jsa.or.jp/stdz/instac/committe/barrier-free/bf-7-2.htm

http://blogs.dion.ne.jp/rabit/archives/4263698.html

しかしこれも平成6年の数字だ。翌年平成7年の高齢者人口は1800万人で、それから900万人も増えているので、また難聴者の多くが高齢者が占めていることからも、今の難聴者人口が600万人以上であることは容易に推定できるだろう。

3月24日に、厚生労働省が平成18年度身体障害者実態調査の結果を発表したが、聴覚障害者数は34万人。
すべての障害を対象に約9500人を対象に調査して4500人程度からの回答による推計で聴覚障害者34万人。母集団が小さいため、毎回聴覚障害者数が数千人単位で増減する。

65歳以上の聴覚障害者数は67.6%にも達する。年齢と等級のクロス集計は見ていないが高齢の難聴者が多いことは推定される。


実際の生活で難聴者は40〜50dBから支障が出る。世界保健機構WHOは41dBから聴覚障害としているが、日本は70dBからだ。非常に狭い範囲しかみていない。

これだけの難聴者がいるので難聴者組織はどこも高齢者が多い。しかし組織数は非常に少ない。世界各国も同様だ。

難聴は、見て分からない他に自分の難聴が与えている情報・コミュニケーションの影響が分からない、社会の理解の遅れのため愁訴しにくい、適切なコミュニケーション方法が取れない(自分は話せるが相手の声が分からない場合は意外と難しい)などの理由のため、難聴者が顕在しにくく、集団の中のコミュニケーション自体が困難だ

また、高齢者団体に組織されても難聴になると団体活動から阻害されてしまい、難聴者組織の存在も知らずに孤立化したままになりやすい。


ラビット 記