難聴者支援のインフォーマルな活動

「インフォーマルな活動とフォーマルな活動」は、社会福祉の教科書の最初の方に出てくるが、聴覚障害者の関係で出てきたのは最近のことのように思う。
もしかして、社会福祉基礎構造改革の時に聴覚障害者支援、手話通訳制度とケアマネジメント関係で論じられていたかもしれない。

厚生労働省障害者自立支援室は、聴覚障害者の情報・コミュニケーション支援事業のあり方についての勉強会をこの4月から始めたが、この勉強会の内容の説明の中に、「フォーマルな支援とインフォーマルな支援との整理」が出てきた。
その検討課題は厚生労働省側の説明では、IT技術を使った通訳支援、情報提供施設のネットワーク化などが柱のように言われているが、障害者の権利条約の批准、障害者自立支援方の見直し、財政改革の中で事業のあり方を検討するものだ。

「フォーマルな支援」というと制度、制度に基づくサービスの提供ということであり、インフォーマルな支援というと制度以外の民間の事業、ボランティアの活動を指す。

この勉強会でフォーマルな事業と言えば、私たちにとっては、障害者自立支援法で市町村の必須事業となった要約筆記者派遣事業がフォーマルな支援だ。
行政の責任において実施されるフォーマルな支援は、都道府県、市町村の任意事業であった要約筆記奉仕員派遣事業に代わり、要約筆記者派遣事業が実施されている。

中途失聴・難聴者に必要なフォーマルな支援は他にも補聴器給付事業、日常生活用具給付事業、相談支援事業など他にもある。障害者自立支援法以外、厚生労働省以外にも多くの制度がある。

では中途失聴・難聴者に必要なインフォーマルな支援とは何か。
中途失聴・難聴者が地域で生活を送る場合、買い物から、交通機関の利用、病院の診察、地域の会合、自治体サービスの利用など多岐にわたるが、公的なコミュニケーションの保障、コミュニケーションの支援以外に、社会の相互理解、共助とそれを促進する活動が必要だ。

中途失聴・難聴者当事者団体が同じ障害を持つ人との交流や耳マーク普及や災害支援など社会に啓発活動をしているのはインフォーマル活動そのものだろう。
要約筆記者たちが当事者とともに要約筆記以外に様々な支援活動をしていることもこれにあたる。
教育やその他の場において、ボランティアで情報保障活動、コミュニケーション支援活動が行われていることもこれにあたる。

地域や民間組織、企業などに中途失聴・難聴者のコミュニケーション、情報保障の理解のために働きかける活動をアウトリーチ活動というが、これもインフォーマルな活動だ。

問題は、どういうインフォーマルな支援にあたる人を増やすのか、どう増やすのかということだ。
中途失聴・難聴者は文字の支援だけでも不十分な時も多く、きめ細かい励ましなどが必要だ。

フライトの時間が迫ったので、ここまで。(羽田空港にて)


ラビット 記