N市の要約筆記奉仕員研修会で

8月に入って、N市の要約筆記奉仕員研修会で講義することになっている。

テーマ自体は、「難聴者の求めること」で、難聴者の求めていることを。様々な角度から話すことにしたい。
1.難聴者が社会の中で置かれている状況まず説明したい。
多くの難聴者が社会の中で支援も受けられずに孤立していること。
障害者施策でも障害児施策、高齢者施策でも難聴を支援するサービスが皆無に近く、あっても対象者が極めて限定されていることを告発したい。
高齢者に限っても、難聴でテレビの視聴や電話の利用にも困り、家庭の団らんからも地域の集まりからも疎外され、家族も含めて蔑みの対象になったり、。本人も難聴になることは加齢のため仕方がないと思って保護されるべき権利にも気付いていない。
対象者を身体障害者手帳を有するものに限定していることは障害者の権利条約に照らしても、WHOの基準に照らしても「違法」状態だ。
今朝の朝日新聞に非正規雇用者の高齢化の問題が指摘されていたが、日正規雇用者の中には少なくない難聴者やその他の障害者がいるのではないか。
正規の雇用の窓口が極めて狭い上、就労の現場に難聴者に対する支援施策も職場の理解もない状態なので、非正規雇用にならざるを得ないだろうと考えている。

2.難聴がいかに理解しにくい障害かを特徴を整理して理解する。
この理解しにくい理由が今後の支援方策の鍵になる。国際難聴者会議でもその理由を報告したが、
1)外見から難聴であることがわからない。
2)どのように聞こえているか他の人に状況が分からない。
3)聞こえている状況を言葉で説明しにくい。
4)理解出来ていないのに「分かる」と答えてしまうこと。
5)部分的に対応できるので、問題ないとみられること。
6)話せることが聞こえないと考えにくいこと。
7)難聴が高齢者、愚図などマイナスの悪いイメージがあること。
8)自ら障害を説明することができないこと。
9)その他

3.地域で求められる要約筆記者像とは何かを説明する。
難聴者が地域で生活していく上で必要なのは、一般社会の理解とバリアフリー環境、幅広い支援サービス、社会啓発や難聴者との交流などが必要だ。
今後、障害者自立支援法で難聴者の利用が広がる。
しかし、難聴者の置かれた状況から、コミュニケーション支援に当たる要約筆記者は、通訳行為が出来ることはもちろんだが、権利擁護の意識(アドボカシー)を持っていることが必要だ。それは、通訳するだけではなく、難聴者の持っている多くは隠れた問題を見極め、支援が必要か判断を求める力が必要だからだ。対人援助は高度な支援技術を必要とする。
例え、書くことが比較的難しくなくても、奉仕員のままでコミュニケーション支援することはふさわしくない。

4.全難聴はこうした施策の転換を求めて活動していること、支援法第二期の見直し、障害者の権利条約の批准の展望の中で、要約筆記奉仕員の新しい役割り、難聴者の社会の進出の中でより専門性を持った要約筆記者が必要になること、
5.裁判員制度や高等教育の聴覚障害学生の講義保障など、新しい課題への対応をどう考えるか。
要約筆記と字幕制作の棲み分け(使い分け)のための理論整理と養成。

を話そうと考えている。

ラビット 記

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>朝のウォーキングで見つけた\xF9\x9Dです。暑いから気を付けくださいね。