地域における要約筆記者の役割(1)

障害者自立支援法で、要約筆記者等コミュニケーション支援事業は市町村の必須事業となった。

必須事業となったことに多くの意義がある。
一つは、聴覚に障害を持つ人々はコミュニケーション支援を受ける権利のあることが法律で規定された、法定化されたということだ。
それまで、コミュニケーション支援事業、要約筆記事業は厚生労働省の通知によるもので、どこが実施責任を負うのか法的な根拠はなかったのだ。

二つは、コミュニケーション支援が行政の必須事業であるということは、その支援に社会福祉サービスとしての専門性が要求される。
特に財政状況が厳しい現状では、行政はサービスを厳選し優先順位をつけて実施せざるを得ない。誰もが出来る支援、思いやりなどは共生社会では互助として、地域住民が担う必要がある。

三つ目は、市町村の事業であることだ。
市町村の事業というのは、その人の居住する生活の場所で地域の実情に合わせた場所で支援サービスを受けるという「地域福祉」の意味であり、もちろん市町村の財政状況によって受けられるサービスに格差が生じるのはやむを得ないということではない。
本来は、誰でもどこでも日本国民として憲法に保障された健康で文化的な最低限の生活が保障されなければならない。

私たちは、地域福祉の事業として、要約筆記事業がセットされたという意味を深く考える必要がある。
難聴者は、その聴覚の機能障害がコミュニケーションの障害であることから、自治会の祭りや集まり、学校行事など自ら地域社会との関わりを避けてきた。近所の住民との挨拶すら避けたりする。それらの難聴者は移動の困難はない人が広域に活動、社会生活を送っている。
(続く)


ラビット 記