補聴器の交換と人工内耳の再マッピング(3)

新しい補聴器を使ってみると、人工内耳から聞こえているのか、補聴器から聞こえているのかがわからないくらいによく聞こえていた。

このディスティニーには各種の自動調整機能が付いていて、風切り音や機械の音が一定以上入ると自動的に音量を下げ、目の前の音を聞く指向性の機能がついている。
どういうものかわからなかったが人工内耳のADROとBEAM機能は効果的だったので、似たような機能かと思って設定してもらった。
しかし、この機能がとんでもないくせ者だったのだ。

翌日、勤務中に急に補聴器が聞こえなくなってしまった。ボリュウムをあげても、チャンネルを切り替えても聞こえない。自分の声もあーあー言ってみるが聞こえない。新しい補聴器には新しい電池が入っているはずだがもうなくなったのかと懸念しつつも変えてみたが同じだ。

ここでもしかして補聴器の騒音抑制機能が作動しているのではないか、あるいはハウリング防止機能が聞いているのではないかと気が付いた。しかも電話も聞こえない。
これには困った。

騒がしいところでも言葉の少しでもわかればと聞こうとするのが難聴者だが、そんなに集中力は続かない。

補聴器メーカーの技術者を恨みたくなる。補聴器ユーザーがどのような生活パターンでどのような環境で過ごしているのか、自分の調整した設定でそれが大丈夫なのか、どういうことが起こり得るかについての想像力が足りない。

携帯電話の音量が大きい場合、補聴器はそれを騒音と認識することはないのか、携帯の受話音量と補聴器のボリュウムの最適なバランスは見つけにくい。

結局、補聴器をダビンチに戻した。肝心なときに聞こえないのでは補聴器ではない。


ラビット 記