人工内耳の聞こえ もうすぐ1周年(1)

早朝5時。ふすまの向こうで祖母がかけているラジオの音が聞こえる。
「あなたの生きていることが・・・」、「沖縄の海上○キロメートル・・・」とか聞こえる。
最初のは宗教か人生相談みたいな番組だ。その後は天気予報だ。

人工内耳の手術を受けて、もうすぐ1周年。
人工内耳のスピーチプロセッサーを装着したのが12月3日だから音の刺激が入ってから11ヶ月がすぎた。

もう1周年か。やっと1周年か。仕事の上でも、難聴者運動の点でも大きな展開があった。

補聴器装用者が人工内耳を自覚的に装用する一人になって、その聞こえるようになる状況、人工内耳の聞こえがどのように聞こえるのかではなく、どのように聞こえるようになっていくのかについてを発信してきたが、1年前を振り返る余裕はない。

当初、人工内耳の聞き取りの練習のためには人工内耳だけで聞く時間を出来るだけ長くするようにと言われていたが、補聴器で40年間聞いてきたので、人工内耳だけで聞くのに違和感があった。それに補聴器ではそこそこ事足りていた。それで半年くらいから補聴器併用で自然に任せることにした。

人工内耳のマッピングのデータなども比較して聞こえをもっとよく調整してもらってはと助言を頂いたり、自分でも本を読んだり、朗読音声を聞くことが効果があると聞いて試みようとしたが、食事するか寝るかパソコンの前に座るかの生活をしていると追求しきれなかった。

1周年経ったら、聞き取りの検査をすることにしている。その後はPETやその他の検査も進んで受けるつもりだ。PETの検査には医療倫理検討委員会の審査でかなり時間がかかりそうと聞いた。きちんと倫理問題が審査されることは、医学の健全発展、患者の保護のためには必要なことだ。

自分では自分の経験しかない。医師や言語聴覚士はどうなのだろうか、学会などの報告、情報交換で共有できているのだろうか。各医療機関で実施された人工内耳の手術やリハビリテーションに関わる体験は個人情報を保護してデータベースで共有化出来ないのだろうか。健康保険で費用が補填されていると思うが。今度伺ってみよう。


ラビット 記。