人工内耳の聞こえ もうすぐ1周年(2)

人工内耳と補聴器の併用は、聞こえについてよく理解した医師と言語聴覚士、補聴器装用技能者がいないとなかなか大変だ。

補聴器関係者は人工内耳の知識がほとんどない。補聴器で効果がない人が人工内耳を装用すると一般では理解されているので、関心がなかったのかもしれない。

加齢とともに低下しつつある聴能を何とかくい止めるために、補聴器で聞こえない聞こえを人工内耳で補うという発想をした。自分が感音性難聴者だが人工内耳は高音がよく聞こえると聞いたからだ。実際には低い音から高い音まで聞こえるが、高い音が聞こえなかった難聴者にはよく聞こえると感じるのだろう。

最近のデジタル補聴器の機能はひと頃では考えられないほどの出力と機能を持っている。この機能を人工内耳を併用する場合に調整すれば、補聴器だけよりまた人工内耳だけよりも聞こえるはずだ。
これは補聴器の音響増幅と人工内耳の電気信号による聴覚刺激という両方の機能を一体化したハイブリッド人工内耳がすでにアメリカで実用化されている。

実際に、補聴器と併用しているのは出勤してからと就寝するまでの丸一日だ。
先日の補聴器の調整について医師と言語聴覚士と意見を交換したが、補聴器側の問題があることが分かった。補聴器の聞こえの明瞭度を得るには高音域の利得が必要だがそうするとハウリングが起きやすいと言う。
ハウリングはイヤーモールドが耳に合っていないかきちんと耳にはまっていない場合に起こる。イヤーモールドを作り直すか、それとも補聴器側の調整が必要になる。

最新の補聴器はハウリングをキャンセルする機能が付いているので、調整すれば出来るらしい。
補聴器には自動調整機能がいろいろ付いているが騒音抑制機能がある。人工内耳の感度と補聴器の音量をその場に聞きやすいようにバランスを取っているが、周囲の音に反応して補聴器が勝手に出力を下げてしまう。
こちらとしてはうるさい中でも今話されている声を聞き取らなくてはいけないときに前触れもなく聞こえなくなってしまうのは困る。
聞いているときに急に人工内耳だけの聞こえになったり、元に戻ったりするので聞こえが不安定な状況になっている。携帯電話を使っている時も携帯の音量」に反応して急に聞こえなくなってしまう。
自動騒音抑制機能も考えものだ。医師はその機能をオフにしたらよいと言うが、問題は、この調整が病院に行かなくては調整できないことだ。サラリーマンがそうそう日中に通院できない。

人工内耳にせよ補聴器にせよ、よりよい聞こえを得るためには良い医師、言語聴覚士、補聴器装用技能者に「巡り合う」ことと通院、調整の時間の保障、それに本人のモチベーションを維持するようなエンパワメントが必要だ。


ラビット 記