社会保障審議会の「障害者の範囲」 難聴者の場合

難聴者等は、今の身体障害者手帳に数々の矛盾を感じているが、社会保障審議会ではその矛盾に深く言及したものになっていない。

第一に、難聴者等の支援の必要性は、難聴の種類が伝音性か感音性かにもよるし、dBだけでははかれない。聴力は心身の状態にも環境にも影響されるからだ。

第二に、生活の場面で支援が必要な難聴者は、身体障害者福祉法の基準以下も多く存在する。

第三に、難聴者に必要な支援は補聴器、補聴援助システムの給付や聞こえの情報保障だけではない。聞こえないことによって起こる様々な問題に対処することが求められている。


障害は、機能障害と見る見方がサービス提供の際の「客観的基準」の必要性の元に温存されようとしている。
ICFの障害は環境因子と個人因子の影響を受けて定義され、障害者権利条約はもっと明確に社会の理解と社会の障壁(バリヤー)との相互作用が障害としている。

早急に問題点を強く指摘するべきだろう。
今思えば、聴覚障害者の委員がいるのだから、問題点を指摘しておくべきだった。


ラビット 記
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4 障害者の範囲
【基本的考え方】
障害者自立支援法の附則の施行後3年の見直し規定では、障害者の範囲を含め検討することとされており、障害者自立支援法上の障害者の範囲について、以下の観点から必要な見直しを行うべきである。
(1)障害者の定義
(2)手帳制度

(1)障害者の定義
(障害者の範囲についての基本的考え方)
○ 現行の障害者自立支援法における「障害者」の定義は、身体障害、知的障害、精神障害のそれぞれについて、身体障害者福祉法その他、個別法を引用する形で規定されている。

○ 障害者の権利に関する条約も踏まえ、障害者自立支援法の対象者を、個別法の引用ではなく、支援の必要性によって判断することについて検討すべきであるといった意見や、例えば難病について医師の診断書に基づき判断すべきといった意見、さらには障害者自立支援法の障害者の定義を廃止すべきといった意見があった。

○ 一方、このような考え方については、障害者基本法における障害者の定義も、支援の必要性のみによって対象者を定めていないことや、支援の必要性のみで対象者を判断することになれば、障害者だけでなく、あらゆる福祉的支援を要する者が対象となるといった課題がある。また、訓練等給付や自立支援医療などについては、障害程度区分のような客観的なニーズ判定手法がなく、誰を対象とするのか、市町村において適切に判断することは困難になるといった事情もある。

○ このほか、現在のそれぞれの施策で行われている支援を充実させていくこととしつつ、あらゆる福祉的支援を要する者への支援をどのような制度体系で行っていくべきかは、更に検討していくべき課題ではないかとの意見もあった。

○ このように、支援の必要性によって対象者を判断することについては、様々な課題があることから、今後更に検討を進める必要がある。

(2)手帳制度
身体障害者と手帳との関係)
身体障害者について、身体障害者手帳を所持しなくても、身体障害者福祉法別表に該当することが確認できれば、障害者自立支援法のサービスの対象とすべきとの考え方がある。
しかしながら、これを行う場合、市町村窓口において判断業務が困難になることや、現在身体障害者手帳障害者自立支援法以外の各種公共サービスの割引等に広く活用されていることを踏まえると、様々な混乱が懸念されることから、慎重な検討が必要である。

○ なお、現行の身体障害の認定基準については、実態と合わない部分も出てきており、身体障害者手帳制度の在り方を含め検討が必要ではないかとの指摘もあった。

「4」はギリシャ数字の四。
全難聴理事の報告を再構成。