JDFの障害者差別禁止法制定の要望書(2)

日本障害フォーラムJDFは、内閣府厚生労働省文部科学省法務省など各省庁と、障害者権利条約の批准に伴い国内法整備について、協議を重ねている。

この要望書についても、各団体の意見は様々であり、その一致点を少しずつ、積み上げている段階だ。

要望書の内容は、他の障害者、一般市民に分かりにくものがある。
障害者権利条約は「手話を言語である」とは記述していない。言語とは、音声言語と手話、その他の形態の非音声言語等を言うと、並列に表記した。手話が言語である証明を記述した訳ではない。

手話が言語であると法律に明記するというのは具体的にどういうことか、日本語は音声言語と手話であるというようなことを障害者基本法とかどの法律に記述するのか。手話を公用語とすると記述するのか。

放送法に手話放送の定義もない。放送事業者に手話放送を実施させるために、上記の記述が先に必要なのか、技術的基盤整備、人材確保が先か。

同じように、難聴者に音声言語でコミュニケーションする権利をどう記述させるかと言う問題にもなる。


ラビット 記

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(6)手話を言語として法的認知
“障害者権利条約”は手話を言語として定義しました。これは国内法においても、適切に明記すべきです。
 手話は、聴覚に障害のある人にとって死活に関わるコミュニケーション手段であるのみならず、成長に伴って自然に習得される自然言語として言語発達面でも重要であり、また思考の道具として、さらに人格形成の手段としても極めて重要です。
 しかし、日本ではいまだに手話が言語として法的認知を受けていないために、教育や社会的活動の様々な場面においても手話の使用が制限され、言語、思考、人格形成における手話の活用において大きな制約を受けています。それゆえ、障害差別禁止法においては、手話を言語として認知し、教育や社会活動の様々な場面において手話を使用する権利を認める必要があります。

(7)コミュニケーション保障の明文化
 音声によるコミュニケーションに障害のある人たちのコミュニケーション方法は、手話、指文字、点字触手話指点字、筆記、手のひら書き、身振り、物のサイン等のさまざまなコミュニケーション手段があります。どの手段を使うか、また、どの手段の支援を受けるかの選択権は当事者にあります。これらを権利として保障することを明文化すべきです。
漢字や難しい言葉づかいのわかりやすい表現など、障害のある当事者が理解しやすい表現を利用できることも、重要なコミュニケーション保障です。

(8)地域社会での自立生活の権利
 これまで障害を理由に、多くの障害者が施設や病院という管理された集団生活を余儀なくされてきました。これは、専門的な支援が必要とされるからだ、との理由で行われてきましたが、実は地域社会で支援を受けながら生活できる社会資源や制度が整備されていなかったからに他なりません。本人の意思のないところで強いられる集団生活は、障害に基づく差別と捉え、地域社会での自立生活の権利の明文化が求められます。

(9)教育
障害者権利条約では「障害のある人が障害を理由として一般教育制度から排除されないこと、及び障害のある子どもが障害を理由として無償のかつ義務的な初等教育又は中等教育から排除されないこと。」(川島聡=長瀬修仮訳(2008年5月30日付))と示されています。障害を理由に不利益な扱いをすることは差別であるという認識に立ち、基本的にはすべての学校で障害のある学生(子ども)が学べるように、抜本的な教育条件整備を早急に進めていくことが重要で、その視点に立ち、学校を選択する権利については本人にあることを明確にすべきです。
手話通訳、要約筆記、点訳等による情報保障や、介助サービス、校舎のユニバーサルデザイン化などの支援サービスによって、初等および中等、高等教育、またあらゆる段階の教育を通して、他の学生(子ども)と平等に学べる体制をつくるべきです。それらを含む多様で多くの手立ては、合理的配慮の視点をあわせもち、一人ひとりのニーズに即した内容であることが重要であり、障害のある学生(子ども)にとっては権利なのです。
一人ひとりの学生(子ども)は、そのニーズに即したもっとも適切な環境と支援、方法による教育を受ける権利があります。特に、盲、ろう、および盲ろうの子どもは、盲学校やろう学校で、もっとも適切な言語ならびにコミュニケーション方法を用い、かつ、学業面および社会性の発達を求める権利が認められるべきです。

(10)雇用就業
 多くの課題が未解決の中、障害者差別禁止法(仮称)においては、特に障害のある人の労働者としての権利を確立していくために、労働における合理的配慮の義務を国・自治体・事業所に課していく必要性があります。

(11)強制医療の禁止
 未だに多くの精神に障害のある人が、本人の同意なしで医療を受けさせられている実態があります。基本的には医療は同意に基づく営みでなければならず、歴史的文脈から捉えていくとき、強制医療の禁止を障害者差別禁止法(仮称)において明文化させることが求められています。

(12)成年後見制度の見直し
 判断能力に支障のある人への権利擁護制度として成年後見制度があります。財産権の保持など、権利擁護の一定の役割を果たしていますが、自己決定権の制限や、そして何よりも選挙権が剥奪されるなどの、人権上大きな問題が存在します。障害者差別禁止法(仮称)の立法化にあたっては、同時に成年後見制度の見直しが求められます。

以上

日本障害フォーラム 構成団体
(福)日本身体障害者団体連合会    (福)日本盲人会連合
(財)全日本ろうあ連盟     日本障害者協議会
(特)DPI日本会議    (福)全日本手をつなぐ育成会
(社)全国脊髄損傷者連合会    (福)全国社会福祉協議会
(財)日本障害者リハビリテーション協会     全国「精神病」者集団
(福)全国盲ろう者協会    (社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会

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