市町村要約筆記者派遣事業の利用者の負担

市町村で要約筆記者派遣事業が始まる。障害者自立支援法で必須事業になったにも関わらず、実施していない自治体がまだある。

しかし、要約筆記者派遣事業の開始に利用者に様々な形で負担を求めてくるとしたら、止めさせなければならない。

コミュニケーション支援は聞こえない人だけが受けているのではない。聞こえる人も利用している。聞こえる人も自分の話を相手に伝えてもらっているのだ。
コミュニケーション支援事業は、聞こえない人が申請することになっているが、だからといって聞こえない人だけが負担するというのは筋が通らない。

要約筆記者の派遣は無償で実施するが派遣に関わる交通費を利用者負担というのは形を変えた利用者負担だ。
それは利用者によって利用をためらわせるもの以外でしかない。

午前中病院に行き、午後から市役所で相談し、その跡地域の会合に出ると行った場合、その都度要約筆記者を派遣依頼すれば負担が増える。積極的に自分で社会に参加しようとすればするだけ負担になってしまう。
医者に行くのに要約筆記を利用するのをためらってしまうだけでなく、受診も止めてしまうかもしれない。

要約筆記者にかかる交通費はまちまちだろう。自家用車を使って移動する人もバスを使って移動する人もいる。いつも同じとは限らない。いくらかかったか聞こえない人に説明して請求する?現金で支払う?
視覚障害者は点訳奉仕員、朗読奉仕員にサービスを受けるのに交通費を負担するのだろうか。手話奉仕員と交流するのに交通費を払うことはないだろう。

行政の提供するサービスにそんなあいまいな負担が合ってはならない。市民プールの料金だって、料金は議会で承認を求めなければならない。
要約筆記者派遣事業にいかなる形の自己負担もあってはならない。

要約筆記者がこれに反対しているだろうか。要約筆記奉仕員として養成されたなら、要約筆記事業が社会福祉法第2種事業の権利を守るための事業であることも学んでいないかも知れない。守秘義務あることや対人支援の考えや方法も学んでいないのだろうか。

コミュニケーション支援の有料化がいかに聞こえない人の
権利を奪うか、考えてほしい。


ラビット 記