難聴者向け相談支援事業について

Mさんへ
お問い合わせありがとうございました。
協会が本格的に難聴者向け相談支援事業に取り組む上の問題についてでしたね。

難聴者向け相談支援の難しいところは、一つはもちろん対応に専門性が求められることです。
「仲間が欲しい」、「手話が学びたい」というような「相談ごと」ならばある程度本人の意思がはっきりしています。また何が問題かが明確なら協会のサークルや協会の関わっている難聴者向け手話講習会を紹介します。
しかし、「難聴の息子が○歳にもなって仕事もしないで」というようなケースは親と本人の双方から話を聞いたり、難聴の程度や障害受容の状況に応じたコミュニケーション方法を取るなどの必要があり、対応には専門性を要します。

もう一つは、問題の切り分けが出来ないと協会のサークルを含めて他の社会資源に繋ぐことも難しいです。
この問題の切り分け自体が経験と専門性が求められます。

相談支援が他の支援サービスに結び付いていくにはそのサービスが難聴者等の問題に精通していないとならないですがそうしたところはなかなかなく、心身障害者センターは難聴者対応の経験のある専門家のいる貴重な存在でが、地域行政の障害者福祉課や障害者センターを支援する機
関で、個人の相談を直接受けられないのです。

私たちが進める聴覚障害者自立支援センターの聴覚障害者相談支援事業は今のところはろう者対応が事業化の目的で、難聴者相談支援の対応できる人がいないことから対象にしていません。

他に十分対応できるところがないだけに下手に協会や聴覚障害者自立支援センターが難聴者の相談支援の看板を掲げて相談が殺到したら大変です。

三つ目の問題は途中でやめられないことです。たいていは何度も続きます。
相談支援に従事する人はその問題にかかり切りになるので、生活できる身分保障が必要になります。


こうしたことから、難聴者相談支援事業化は上記の関係機関などと相談しながら体制を整えることが大切と考えています。


ラビット 記