難聴者の変な心理 聞こえるじゃん、あれ聞いていいの?

時々、「聞こえちゃう」時がある。

人工内耳のチャンネルと感度の設定と補聴器のバランスがうまくいくと、会話が「聞こえちゃう」。

「聞こえちゃう」というのは、難聴者の会議で磁気ループでも使わないと明瞭に聞こえることは日常生活にも会社でもない。
だから、補聴器では日常の会話はどうせ聞こえないものと思い込んでいるので、聞こえるとそれを「聞いちゃっていいのかな?」、「どこまで聞いていいのかな」なんて変な心理が働く。

「昨日お客様が帰られても、クーラーもつけっぱなし、コップも机に置いたままだったのよ。だから私が片付けたのよ」
なんて、聞こえちゃうと「ああ、すまん、すまん。片付けてくれてありがとうね」なんて、すぐ返事が出来ちゃう。
いつもは「え?何?」という顔をしたりするのに。
「私がやったのよ」と何度も言う。何か期待しているのかもしれないと気づく余裕があった。

「昨日新聞代払ってくれた?」なんて聞こえたので、「新聞代?、新聞代って何のこと?」と聞いた。
聞こえないので「昨日新聞代払ってくれた?」だけ聞こえたのではない。庶務の女性が口っ足らずな口でそういうのだ。聞こえる人が聞いても同じだ。みな??と言う顔をしている。
「ああ、会社の新聞代ね。昨日休んだから聞いているのね。僕じゃないよ。」と言うとそのまま行ってしまった。


ラビット 記