総選挙の公開討論会の要約筆記派遣

8月30日投票の総選挙は、政権交代の可能性もあり、聴覚障害者の関心も高い。

現行の公職選挙法では、候補者や政党が一同に会して、政見を語る立会演説会がかってあったが現在は禁止されており、代わりに民間の団体が主要政党や候補者を集めて公開討論会を開催する動きがある。

主催者側が手話通訳や要約筆記の用意をしてくれるとしても予算的には十分ではない。
この公開討論会に難聴者が要約筆記の派遣を依頼したら認められるだろうか。
自治体の要約筆記者派遣事業実施要項に、派遣しない対象となっているかどうかだが、政党の集会等政治に関わる場には派遣しないことになっているようだ。

各地の要約筆記者派遣事業の実施要項や利用の案内等にはいろいろな言葉で制限がされている。
「派遣できない内容。政治団体の活動;宗教団体の活動;企業(営利)活動;その他不適切と認めるもの」(滋賀県聴覚障害者センター)
「次のいずれかに該当する事項に対しては、要約筆記者を派遣しない。(1)宗教活動に関すること。(2)政治活動に関すること。(3)営利を目的とした活動に関すること。(4)個人の遊興、娯楽に関すること」(伊達市要約筆記者派遣事業実施要項)
「ただし、次に掲げるものは除くものとする。(1)政治的目的または政治的活動に係るもの」(須坂市要約筆記奉仕員派遣事業実施要項)
「文化教養に関すること。除外事項、宗教団体、政治団体等の主催するもの、企業の営利にからむ物品販売等の行為及び主催者による手話通訳設置のある後援会、研修会等」(丸亀市要約筆記者派遣事業実施要項)
「次の各号に該当する場合は、この事業の派遣対象としない。(4)派遣対象事業等が、政治的行為や宗教的な目的を有している場合」(三豊市要約筆記奉仕員派遣事業実施要項)
「次の各号のいずれかに該当する場合は、筆記者の派遣を受けることが出来ない。(1)政治活動又は宗教活動を行う場合」(三木市要約筆記者派遣事業実施要項)
「・政治活動、宗教活動、営利活動に関する依頼はお受けできません。」(京都市聴言センター)

しかし、特定の党派の集会でも運動員としてでもない場合、広く社会参加の一形態として、参政権の保障、市民的自由の保障のために派遣を認めるべきだ。

様々な言葉で、制限されているが、国民の基本的人権である参政権と政治活動そのものを否定することはあってはならない。
障害者の権利条約は、コミュニケーションの権利とともに政治活動も合理的配慮の対象としている。


ラビット 記