改正著作権法と字幕サークル

改正著作権法第37条2項は、聴覚障害者の著作物の利用に関わる著作権制限条項だ。

これまで映画やDVDの字幕制作に関わってきたサークルは多い。
もののけ姫」や今度公開される「沈まぬ太陽」の映画には字幕版がある。
これも最初は著作権の許諾がないために録音も出来ずに、映画館の了解を得て字幕サークルのボランティアが自費で上映館に通って、その場でセリフを聞き取って書き起こし字幕台本を作り、スクリーン脇に字幕を投影する上映会を重ねるなどして、配給会社を動かしたのだ。

どの字幕サークルもを同じような苦労を余儀なくされている。
しかし、これまで活動してきた映画やDVDの字幕サークルに、改正著作権法第37条二項の恩恵があるのだろうか。

字幕サークルは「福祉に関する事業者」になることは出来るかもしれないが、事業者として聴覚障害者等のために利用出来る区分は二つしかない。
つまり、字幕の自動公衆送信と複製の貸し出しだけだ。

これでは字幕サークルは映画/DVDの字幕付き上映会の度に今までどおり字幕制作の許諾を求め続けなくてはならず、しかもインターネット配信のしか出来ない。

字幕入りDVDを制作したとしても貸し出しするには、コピーガードや補償金を求められては活動のまったくの障壁だ。


ラビット 記