人工内耳と補聴器の聞こえ方 雷鳴
月曜だったか、帰宅途中で雷鳴がした。
人工内耳だけで聞くと「ゴロゴロ」が聞こえない。傘に当たる雨の「パチッパチッ」という音は聞こえる。
補聴器のスイッチを入れると「ゴロゴロ」が聞こえる。
パチッパチッ、ゴロゴロ、パチパチ。
人工内耳の調整をすれば、ゴロゴロも聞こえるのかもしれない。前に調整したのが昨年末だったか。
補聴器は補聴器店で調整し、人工内耳は病院で調整する。それぞれ別個に調整するので装用者自身がどういう風に聞こえるか、どのように聞きたいかを言わないと最適なフィッティングは難しい。
しかも、補聴器側の聴力の低下が続いてかつ毎日の変動が大きいときにどのような調整を求めればいいのか分からない。
今日は会社の同僚の送別会だった。小さな中華料理店だったが、人工内耳は普段使わないADOROにして、補聴器はノーマルの設定にした。
ADROは人の声を浮き上がらせると言うが高い音だけが聞こえるだけになってしまった。
最初の一杯はビールだが断ってサワーにした。するとビールがだめなのはなぜとたいてい聞いてくるので口で読みとる。
「プリン体がだめなんです」
というと皆納得する。
あとはもうワーワーと聞こえないのでノートを取りだして、似顔絵付きの筆談で会話の糸口をこちらに引き込む。
「スミマセン、お名前が聞こえなかったけど?」
「夏休みは取ったの?」
「フロアーに机がいっぱいだね」
こうして真夏の送別会は終える。
ラビット 記