障害者自立支援法「改正」案に対する声明 2010年11月17日

2010年11月17日の大フォーラム実行委員会の反対声明。


ラビット 記
ーーーーーーーーーーーーーーー
2010年11月17日
障害者自立支援法「改正」案に対する声明

今こそ進めよう!障害者制度改革
自立支援法の廃止と新法づくりを確かなものに
10.29全国大フォーラム実行委員会
<構成団体>
日本障害者協議会
障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動実行委員会
(財)全日本ろうあ連盟

障害者権利条約は“Nothing about us,without us.”「私たち抜きに私たちのことを決めないで」という世界中の障害者の声が尊重され、多くの障害当事者が参画して2006年に国連総会で採択され、2008年に発効されました。この権利条約の推進に当時の日本政府やNGOも大きな役割を果たしたにも関わらず、日本の国内法が権利条約の考え方にまだ到達し得ていないため、日本はまだ批准できずにいます。

また、昨年長妻前厚労相は「重い負担と苦しみと尊厳を傷つける障害者自立支援法を廃止し、新法を、みなさん一人一人の意見を聞いて、みんなで一緒によりよい制度を作っていきたい」と約束しました。

そうした状況を踏まえ、政府は昨年12月に障害者制度改革推進本部を設置し、本年1月には自立支援法違憲訴訟原告団との基本合意文書が交わされると共に、推進本部の下に障害当事者等が多数構成員となった障害者制度改革推進会議を発足させました。
この推進会議において条約の批准に向けた国内法の整備、抜本改革について6月に「第一次意見」がまとめられ、障害者自立支援法については、平成25年8月までに新法に移行することが閣議決定されています。

ところが、こうした流れを一切無視する形で、本年5月に政権交代前に出されていた内容をベースにした「自立支援法一部改正」法案が私たち抜きにすすめられ、多くの批判が集中し一旦は廃案となりました。

私たちは、厚労大臣が約束したように、自立支援法が廃止され、当事者の声が十分反映された新法が実現することを切望しています。
同時に、「緊急課題」については、新法を待たずに、予算措置の中で具体化すべきと考えています。その切なる願いで、今年も10月29日に1万人の全国大フォーラムを実施しました。

以上の動きにもかかわらず、本年5月に出された内容のままの「自立支援法一部改正」法案が、衆議院厚生労働委員会にかけられようとしていることに私たちは驚きの念を禁じ得ません。与党・野党を問わず多くの障害者団体とヒアリングを重ねてきたのは何だったのかという思いに駆られます。
新法が出来るまでの間の対策として推進会議が提出した「4つの緊急課題」は全く考慮されず、制度の谷間の問題をまたも先送りにし、より一層重要となるべき相談支援やコミュニケーション支援について、新法移行のバックアップどころか妨げとなりかねない内容とタイミングで改正を図ることに強い不安と疑念を禁じ得ません。

さらに一部「改正」案は、応益負担のあり方については「応能化」であるかのようにいわれていますが、1割負担の条項そのものは存在し、根本的な見直しとは言えません。また、発達障害が加えられ、グループホームやケアホームへの補助の仕組み、負担のあり方の一部見直しが盛り込まれていますが、それらは予算措置によって可能だと思います。

大フォーラムでアピールしたように、介護保険との統合への道を絶対に開いてはなりません。障害があっても、みんなが社会の中で人間としての誇りを持ちながら豊かに暮らしていけるように、権利条約のめざすインクルーシブ社会を一日でも早く実現すべきです。

今回の「自立支援法一部改正」法案は、新法に移行するまでとの期限すら不明確であり、私たちは到底認めることはできません。したがって、私たちは今法案の上程に反対します。