情報アクセスにおける「手話」と「手話通訳」【試論】(2)

【ろう者のコミュニケーション方式は手話】
ろう者にとって、手話が自分の言葉であり受発信方式だ。ろう者どうしのコミュニケーション方式は手話だ。
そうでない人とは「手話通訳」を介してやはり手話でコミュニケーションする。

ろう者は実際の生活では視覚情報を活用しているので、全部手話で表現されればいいわけではない。音声にアクセスする場合が多い。
例えば、アナウンスで時間を告げている時、手話で表現することは求めていない。時計の表示が長針と短針で示されるか、数字で「10:30」とあればそのままアクセスできる情報だからだ。

【手話通訳の役割はメディア変換】
手話通訳は音声と手話の一種のメディア変換機能を持つとする。

【ろう者の情報アクセスの保障】
情報の種類や形式に関わらず、手話でアクセス出来ること。アクセスには手話で表現、発信することも含む。
・音声を手話でアクセスできること。
・文字や字幕も手話でアクセスできること。
 書籍を手話で読む権利が必要。
・ろう者同士の手話での会話を音声に変換する権利
 複数の聴覚障害者のパネルのいるディスカッションなど。

【情報アクセスと行政サービス】
情報一般にアクセスする権利と行政のサービスを受ける権利との関係。

学校教育は義務教育は教育行政によって行われ、公立校私立校に関わらない。
ろう者は手話で教育を受ける権利がある。教育が音声によってのみ行われるならろう者は教育を受ける権利が保障されない。
教育は障害の有無、種類に関わらず保障される権利だからだ。
このことは実際の授業が手話でどのように行うか、行えるかの問題とは別という考えが重要である。
情報アクセスの保障が教育を受ける権利と密接に結びついている。

裁判における情報アクセス保障の問題も、情報アクセスの保障が裁判を受ける権利と結びついている。
(続く)


ラビット 記