中途失聴・難聴者対象手話講習会35年の積み重ねから見えてきたもの。

日曜日の協会の例会は、東京都の中途失聴・難聴者向け手話講習会が昭和50年に開講して以来35年、36年目になる中で、開講した時のいきさつ、長く手話講習会に関わった方、助手や要約筆記を担った方々から、それぞれお話を伺った。

特に、昭和50年に始まった時にその目的が孤立した難聴者に手をさしのべること、難聴者の障害受容、自覚を促すこととされていたことを聞いて、この講習会の原点が確認できたのは良かった。

休憩後、参加者に「皆さんは中途失聴・難聴者手話講習会から何を学びましたか」と問いかけ、4人の方の報告と参加者の多くの意見から難聴者向け手話講習会は、一つは「難聴者」になること、もう一つは「仲間を作ること」と整理してみた。

「難聴者」とはただの耳の遠い人ではなく、人から話しかけられることに怯えている人ではなく、自分に自信がなくした人ではなく、難聴であることを自己理解(自己覚知)し、一人の人間としての権利を自覚した人のことであり、難聴によって断ち切られた家族や周囲の人との関係を仲間と友だちになること(関係の再構築)を指す。

中途失聴・難聴者向け手話講習会のカリキュラムは、2つの要素を持つことになる。
つまり、一人の自覚した難聴者として自立していくための支援プログラムと日本語手話獲得のカリキュラムが互いに絡み合いながら実践されていく。

中途失聴・難聴者対象手話講習会の指導者はまさに「中途失聴・難聴者の支援の専門性」、「日本語手話獲得指導技術の専門性」を身につける必要がある。

この研究は今年度で2年目になる。いよいよ指導目標と学習単元の検討に入る。

ラビット 記