内閣府「第34回障がい者制度改革推進会議」全社協障害福祉関係ニュース8月18日号

Ⅰ.障害福祉制度関連情報
1.内閣府「第34回障がい者制度改革推進会議」が開催される
 
平成23年8月8日、「第34回障がい者制度改革推進会議」が開催され、①障害者基本法の改正、②「障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案」(平成23年7月26日/第16回総合福祉部会提出資料)、③「障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案」の合同作業チーム部分(医療・障害児・労働と雇用)に関する報告と議論が行われました。
 
障害者基本法の改正についての報告
東担当室長より、「障害者基本法の一部を改正する法律」が、平成23年8月5日に公布され、一部を除き同日に施行されたことが報告されました。
法律の内容の報告の後、構成員より、障害者政策委員会(第32条関係)の設置時期に関する質問が出されました。これに対して、東担当室長は、「遅くとも年度末までに、早ければ年内には設置したいと考えている」と回答しました。また、斎藤企画官は、「地方自治体における準備状況を踏まえながら、適切な施行日を検討していきたい」と補足しました。
また、構成員から「『障害者基本計画』はどこで作るのか。障害者政策委員会が設置されるまでは、基本計画に関する議論をどこで行うのか」という質問が出され、これに対して、東担当室長は、「障害者政策委員会の設置時期の関係で、どこで議論するのが適切かどうか検討していきたい」と回答しました。
 
「障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案」についての報告と議論
佐藤構成員(総合福祉部会長)及び尾上構成員(総合福祉部会副部会長)より、平成23年7月26日の第16回総合福祉部会で示された「障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案」について報告が行われ、これに基づき構成員による意見交換が行われました(下記に「障害(者)の範囲」、「選択と決定(支給決定)」、「相談支援」、「支援(サービス)体系」に関する構成員からの意見を紹介します)。
なお、「障害者総合福祉法(仮称)骨格提言」はあくまでも総合福祉部会がとりまとめるものであり、今回の推進会議では、総合福祉部会の進捗状況を報告し、意見交換を行うもので、素案の内容を大幅に議論し直すものではないことが確認されました。
 
<構成員からの主な意見>
(1)障害(者)の範囲
障害者基本法と障害者総合福祉法で「障害者の定義」が異なるのは、地方自治体において混乱が生じる懸念がある。
○ そもそも給付法である障害者総合福祉法に「障害者の定義」を盛り込む必要があるのか。現行の障害者自立支援法においても、障害者の定義については、身体障害者福祉法知的障害者福祉法等の他の法律の定義を用いている。総合福祉法の中に、障害者の定義を規定することの実益はあるのか。
障害者基本法と障害者総合福祉法で「障害者の定義」が異なることには、違和感がある。法律学的理解では、定義が異なるとなると、量的質的に中身が異なることになる。障害者の定義は基本法と同じにして、総合福祉法の対象となる障害者の範囲を規定する方がよいのではないか。また、「相談支援」における障害者の定義との整合性を図る必要がある。
(2)選択と決定(支給決定)
○ 「支給決定の仕組み」の中で、現行の障害程度区分を、「障害種別を超えた支給決定の客観的指標とするのは問題が大きい」と評価しているが、実際に運用している地方自治体の立場からすると、言い過ぎのような印象を受ける。
○ 素案では、現行の個別給付に対応するものの支給決定の仕組みが示されているが、現行の「地域生活支援事業」に該当するものの支給決定はどのように行われるのか。
○ 「不服申立」については、都道府県の権限を強化し、市町村に対して是正が行える仕組みにすべきである。
(3)相談支援
○ 「相談支援」については、「一般相談」と「特定相談」の区別が分かりにくい。また、相談支援専門員は、サービスの利用に関してどこまで責任を持つのか。権利擁護の機能も含むのか。
(4)支援(サービス)体系
○ 総合福祉法においてどれくらいの予算がかかるのか、予算の見積もりが示されていないので、評価のしようがない。どのサービスを重点的に実施するのかを明らかにすることが重要である。
○ 「支援体系」に関して、「全国共通の仕組みで提供される支援」と「地域の実情に応じて提供される支援」については、何を基準にこのような区別となったのか。財源による区別か、それともナショナル・ミニマムによる区別か。
○ 「医療的ケアの拡充」については、「生命優先」か「地域生活」という二者択一の議論を行うべきではないと考える。基本法改正の議論の中では、「医療、介護等」の条項の中で、「可能な限り」という文言が付されたが、このあたりも踏まえた上で、議論していく必要がある。
○ 「医療的ケアの拡充」について、「地域生活のあらゆる場面で確保される」と表記されているが、これだけでは曖昧であるため、医療的ケアが「介護職員等」によって確保されることを明確すべきである。
 
「障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案」(合同作業チーム部分)についての報告と議論
 「障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案」の「合同作業チーム部分」について、堂本構成員(医療チーム座長)、大谷構成員(障害児チーム座長)、松井構成員(労働と雇用チーム座長)より報告が行われ、これに基づき構成員による意見交換が行われました。
 
<構成員からの主な意見>
(1)医療
○ 医療的ケアのにない手の確保にかかる結論と、支援体系における医療的ケアの整理の整合性を図る必要がある。
精神保健福祉法や医療法など他法との関連を整理することが重要。
(2)障害児
○ 障害児のショートステイは施設入所につながるのではないか。また、寄宿舎も遠い場所に引き離されるため問題がある。
○ 支援の主軸を「子ども園」にかかる新法や児童福祉法に置くことが重要。
(3)労働
○ 雇用促進法での規定についてまとめているが、差別禁止法に規定することも考えられるのではないか。
○ 雇用促進法は積極的差別是正措置となるか。差別禁止との関連性についてはどう考えたか。
 
内閣府
第34回障がい者制度改革推進会議 資料
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_34/index.html
第34回障がい者制度改革推進会議 動画配信
http://wwwc.cao.go.jp/lib_003/video/suishin39.html
 
 (障害福祉制度・施策関連情報)
平成23年度/7号(通算268号)(平成23年8月18日発行)