聴覚障害者にとっての総合支援法の問題を絞る

聴覚障害者の総合支援法の問題は、意思疎通支援事業だけではない。

確かに、コミュニケーション支援事業が意思疎通支援事業になり、要約筆記者、手話通訳者派遣事業が市町村に加え、都道府県でも必須事業になったり、市町村の意思疎通支援にあたるものの養成事業が必須事業になるなどはこれまでの制度を補完する大きな変化だ。

しかし、大本の「誰もが障害のある人と同じように地域で生き生きと暮らす」ための施策がないため、障害の谷間に難聴者は取り残され、介助支援の必要な聴覚障害者は支援されないままだ。
(1)難聴の定義が変わらず、難聴者は身体障害者手帳の基準に達しない人は支援サービスが受けられない。
(2)また、聴覚障害者のエンパワメントが難聴者もろう者も必要だが、相談支援事業の継続的、個別的支援の内容が未整備のままだ。
(3)難聴者等に必要な補聴援助システム(FMシステム)が給付されているが医師の診断書が必要だったり、補聴器の両耳装用が認められにくい。
などの問題がある。

「意思疎通支援事業」にも多くの問題点がある。
(4)通訳派遣サービスは、「福祉分野のみ」できわめて限定的で、教育、司法、就労など予算化、実施体制の未整備なまま。
(5)意思疎通支援の形が「仲介」(通訳)のみで、方法が「派遣」に限られているので電話通訳や遠隔通訳が制度にない。
(6)予算が統合補助金となっているため、需用の増大に対応できない。派遣の依頼の増加、通訳者身分保障のための報酬、設置通訳者雇用費が増えても対応できない。
コーディネート費用は事業費に入らない。

ラビット 記
※まだ暑い日が続くが、空は秋に近くなってきた。