聴覚障害者にテレビ電話が普及しないのはなぜか?

職場にテレビ電話を聞こえない人に使ってもらえるのではないかと思いついて、どのようにアプローチしたらよいかと、ベンチャーっぽい会社が訪ねてきた。
これは、IP回線を使った電話で・・・、ダイヤルするだけでかかります。世界中同じ値段で通話できます。聞こえない人に便利です。

映像を送受信できる電話ということで、手話を使う聴覚障害者にと考えたらしいが、無理ですと話した。
身体障害者手帳を持つ聴覚障害者は35万人、そのうち手話を言語として使う聴覚障害者は数万人しかいない。
聴覚障害者同士で電話するには対象は限られている。

聞こえない人が電話したいのは聞こえない人にではなく、一般社会に電話したいのに、そのことを誰も言わないし、気づかない。
テレビ電話が普及するには、数千万台の固定電話、携帯電話に電話できる仕組みがないと無理。
それは、電話リレーサービスだ。欧米では通信事業者に課せられているサービスが日本にないから、聴覚障害者にテレビ電話は普及しない。

もし、いつでも誰にでも電話できるなら、聴覚障害者は手話、文字でどんどん電話するだろう。便利だから。
1999年の段階で、アメリカのニューヨーク州だけで年間数百万コールあったそうだ。

聞こえない人が電話に馴れてないからとか、メールがあるからとかは増えたら困る人が作ったウソ。聞こえなくても普通に電話できる仕組みがあれば皆こぞって使う。諸外国の例を見れば明らか。
しかも聞こえる人から聞こえない人にも電話できる。

ベンチャーの会社が提供する電話はチップに最新のものが搭載されているという。7インチのモニターを三分割しても鮮明に映る。画像の応答性も格段に良い。これは、聞こえない人の電話リレーサービスにはメリットだ。

ラビット 記
御成門近くの公園の樹。