聴覚障害者の公務員

聴覚に障害を持つ公務員は、国家公務員から市町村自治体の職員まで幅広くいる。
一般企業の聴覚障害者同様に、いろいろな差別を受けている。まず、採用の前から大きな問題がある。採用試験の際に、要約筆記や手話通訳が用意されないとか、面接前にどういうコミュニケーション方法が必要とするか聞いても面接では通訳が付かなかったとか、面接で電話が出来るかどうか聞いたりする。
電話が出来るかどうか聞くのは障害を理由にした採用拒否につながる差別だ。職場配置に必要というが、それは採用後にどういう配慮、設備が必要か聞けば済むことなのに。
大概の場合面接で通常勤務では通訳は不要と言わざるを得ないことから、採用後も研修や会議の際に通訳の配置を要求しにくくなっている。

国や自治体が相手にするのは障害を持つ人も含む国民だ。障害を持っているからこそ、障害者向け施策が出来るというものだ。障害者基本法障害者雇用促進法があっても、民間の範であるべき国や自治体が聴覚障害者の雇用に消極的なのはなぜだろうか。
莫大な累積赤字を抱えているから、通訳の配置まで予算がないというのだろうか。難聴者を含む聴覚障害公務員の処遇をきちんとしてこそ、国民、市民へのサービスが提供できるのではないだろうか。
昨年、聴覚障害公務員会が、聴覚障害を持つ人が国や全国の自治体の採用試験を受ける場合の条件や日程などを調査した。大変苦労してまとめたが、それらの内容の問題が今年解決しているのだろうか。

今年も採用試験が始まる。聴覚に障害を持つ仲間の合格を一人でも多く期待したい。そして、職場の環境改善に立ち上がって欲しい。