難聴者のエンパワメントはクリーム入りドーナツ

060728_0846~001.jpgサンフランシスコの風さんからです

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メールをいただいて、エンパワメントについていろいろと考えました。
おそらくこの用語はアメリカよりも日本で定着した感じがありますが(ビジネス関係に多い?)、英語では、Empowerment だけでなく、Self-advocacy (自分の権利を理にかなった方で主張する)、 Assertiveness(理に叶った説得力のある主張をする能力)、Self-esteem(的確で健全な自己イメージ、自分を大事にする能力)など、様々な類似用語が飛び交い一定しませんが、いずれも個人主義アメリカで生まれた基本的人権を支える重要な概念です。
日本では、まずある程度個人主義(自分勝手という意味ではなく、周りにも調和した理にかなった個人の主張)をある程度築いてから(というか同時に)、「自己能力開発支援(エンパワメント)サービス」をやっていかないと、砂上の楼閣になってしまう気がします。

さて、エンパワメントの社会福祉制度化は難聴個人の自己啓発援助サービス(カウンセリング)と同時なら非常に効果が高いと思います。というか、エンパワメント社会福祉制度化のモデルは、個人対象のカウンセリングと、セルフヘルプグループのようなグループモデルが共存するのが理想です。
おっしゃるとおり、中途失聴・難聴者の手話講習会は、他に代わる枠組みがないところでは、大いにエンパワメントのグループモデルを提供していると思います。
ただし、リーダー層が個人カウンセリングの基本的知識と経験がないままこのグループを統率しようとするのは非常に危険ですね。せめてピアカウンセリングの講習を受けるとかある程度資格化をきちんとすることが重要でしょう。こうすべき、こうあるべきという、「べき」とか「すまじき」というような押し付けの言葉を使う人は、たとえそれが経験則に基づく善意のアドバイスであってもカウンセリングをしているとはいえません。
まあ、こうすべき、とずばっ、いわれないとカウンセリングに行った気がしないと思う人がいるかも知れません。他者依存、協調志向の強い日本人だからというのはありえます。
その場合でもその難聴来談者の様子をみながら違った応答が使い分けられるのがいいカウンセラーですね。

(続く)