「障害者自立支援法」以降を考える

東京手話通訳等派遣センターは、年二回「手話通訳議技術基礎講座」で講演会を開催している。
先日、2005年度と2006年度の基礎講座の講演がブックレットになったものが送られてきた。運営委員なので無料だ。「よろしくご活用ください」とあるので、毎冊徹底的に読み込むことにしている。

今回のは、弁護士の杉井静子氏の「憲法を考える」とDPI日本会議の障害者権利擁護センター所長の金政玉氏の「『障害者自立支援法』以降を考える」だ。
なぜ、手話通訳者がこうしたテーマで学習するかと言えば、自ら権利の主張がしにくいろう者を対象に通訳という権利擁護の活動に関わっているからだ。通訳者自身が権利意識を鋭くしていなければ、ろう者の権利は守れないし、現実の社会や政治の動きに敏感にならざるを得ない。
金氏は国連の障害者の権利条約の審議で、国連でもJDFの会議でも大変深いご理解を寄せていただいた方なので、真っ先に読んだ。

障害者自立支援法の問題点、支援費の急増による赤字を解消するための義務的経費という国の言い分も欧米諸国の中で国民所得の割合で言えば一番少ないと聞けば、何かお金の使い方を間違えていないのかと考える。

国会議場前項で指摘した介護保険法と支援費制度のことにも触れられている。障害者自立支援法の第一条の目的の「能力及び適性に応じ」は、介護保険の要介護度の考えがそのまま適用され、障害程度区分に介護保険の調査項目が約80点そのまま適用され、これに当てはまらない障害者は支援の対象外となる
ことに表れているとか、「自立した日常生活又は社会生活を営むことができるようにする」というが「社会参加の支援」とはどこにも書いていないとか、あらためて問題を理解した。

こうした学習は、コミュニケーション支援事業の有料化が図られ、権利擁護の要約筆記がスタートする今だからこそ、重要だ。

ラビット 記
写真は参院安倍首相施政方針演説の国会議場