コミュニケーション支援事業の有料化と福祉基礎構造改革


秋の朝顔あちこちで、コミュニケーション支援事業が有料化の動きが出ている。
東京のH市でも、「(障害者)自立支援法は介護保険と同じで障害の種別を問わず、一定の負担をしてもらう」ことであると市の担当者が言っているそうだ。

障害者自立支援法の基の考えは、2004年のグランドデザイン案で、これが出て来た時は介護保険と支援費制度の統合が厚生労働省で考えられていた。介護保険制度は、国と自治体が国民に保障する社会保障から、サービスを受けるかもしれないために負担する保険に転換したものだ。その統合を目指していたので、負担の考えは用意されていた。しかし、与党からも慎重論が出て、障害者関係団体からの強い懸念もあって、統合は見送られた。しかし、考えは捨てられていない。
介護保険では、保険財政が好転せず、保険料の値上げとサービス対象者の限定、予防介護への切り替えなどが行われた。今では65歳以上でも負担料が月に4000円もかかるようになり、夫婦では1万円を越えることもあると言われている。その結果、サービスの利用の抑制が始まり、返って要介護になってしまう人も多くなっている。

介護保険の実態を見るまでもなく、障害者の負担が多くなればサービスを利用しなくなるのは当たり前だ。実際に施設を対処したり、利用しなくなっている障害者が多くなった。これは、コミュニケーション支援事業に限らない。
厚生労働省が、障害者自立支援法でコミュニケーション支援事業は地域生活支援事業は市町村事業なので、国は地方分権の考え方から負担をするかどうかは自治体の判断だと言っているが、自治体からすれば、介護保険、支援費制度で自治体の負担が大きくなっているので、取れるところから取る、H市のように利用する以上は負担は当然となるのは必然だ。

社会福祉基礎構造改革が、高齢者、障害者などのサービスを措置から契約に変えたこと、地域福祉に軸を移したことは評価されることかもしれないが、障害者の必要とするサービスが基本的人権の観点ではなく、財政状の問題、制度の維持という理由(名目)で「応益負担」とされることに強い危機感を持たなければならない。

鹿児島大学の伊藤周平氏(肩書き不明)の「社会福祉のゆくえを読むー介護保険・支援費制度統合問題の総括と『グランドデザイン』ー」はこの辺の問題を丁寧に論じている。
http://www.geocities.jp/nhwtb615/pd6117.pdf

ラビット 記