ともに闘うパソコン要約筆記(2)

ともに闘うためには、利用者側もパソコン要約筆記者側も力を合わせるのは当然だ。

その委員会のそれまでの経過や議論の内容をパソコン要約筆記者も把握するとともに、聴覚障害者や他の障害者の委員が何を問題にして、要望しようとしているのかを理解しておいて欲しい。
(1)現在の放送バリアフリーの鍵は、地上波デジタル放送が急速に普及しつつあるということと障害者の放送にアクセスする権利が総務省にもNHK、民放側にも「理解」されつつあるということだ。本当に理解しているかどうかは分からないが少なくとも正面切って「反対」は言えない状況にある。
(2)2011年にはアナログの放送が終了し、デジタル放送になる。地上波デジタル放送受信機は標準で字幕が見られる機能があるが実は最低限の機能しかない。つまり、旧式の地デジ規格だ。オプションになっている字幕スクロール機能やアウトリーチ機能等を標準に規格を改定しないと、旧式の地デジテレビが蔓延することになる。

パソコン要約筆記者が、その利用する聴覚障害者がどのくらいの知識や問題意識を持っているか分かれば、聞いた話を同時性を保てるように要約出来ると考えている。
サイマル放送の終了する2011年の前には放送と通信の融合を実現する放送法の改正が必要になってくる」(仮定の文章)ということを理解している利用者ならば「2001年には放送法の改正が必要」とか「サイマル放送終了前に放送法改正が検討される」というように要約出来るかもしれない。
しかし、これは「最初に聞いた言葉」をそのまま入力してしまうと要約文構築に大きな制約が生じる。

利用者からも、パソコン要約筆記者にこの委員会に何を発言しようとしているのか、事前に説明しておけば要約方法も変わるのだが、総務省は東京聴覚障害者自立支援センターにパソコン要約筆記の派遣を依頼するのではなく、個人ルートで手配するので、利用者はパソコン要約筆記者が誰になるのか、会議当日まで分からない。
一番最近担当したパソコン要約筆記の方は、何度も現場でお目にかかっている方だが、毎回話の内容をもっと要約して、読みやすい文に再構築した文章を出力して欲しいと私の要望に応えようと東京の自立支援センターが養成したパソコン要約筆記のついた現場を見学したり、グループ内でいろいろと検討を重ねているとのことだ。

ラビット 記