地上波デジタル放送と字幕放送 放送業界の取り組み


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畠山部長発言月刊ニューメディア2月号に、「地上波デジタル放送と字幕放送」の特集が組まれている。
NHK、民放も字幕放送の拡充にどう取り組んでいるか、その紹介に焦点が当てられている。

想像していたよりも積極的に取り組みが進んでいることが嬉しかった。字幕制作方式も種々あり、メーカーも音声認識を使ったシステムからいろいろ開発されている。
しかし、放送事業者の字幕放送の取り組みには、聴覚障害者側の取り組みがあったことと字幕の利用者との接点がどうなっているのかは見えなかった。編集長自らのインタビューで、NHK編成局統括担当部長の畠山氏が、「一番大切なのは視聴者のニーズです」と利用者のニーズを重視した発言をしているが、具体的にどういうニーズの把握をしようとしているのかを説明して欲しかった。
民放も、九州字幕放送共同センターで障害者を雇用した字幕制作等を行っているが、掲載誌に載っている字幕評価は入力オペレーターやディレクター等によるものらしく、聴覚障害者当事者はどの段階でどういうふうに関われるのだろうか。

テレビ放送の字幕は、事前制作の場合はテレビの音声をそのまま文字化することはしていない。限られた文字数があり、読み取れる時間を確保しているからだ。生放送の場合も字幕キャスター方式等のように元の音声をそのまま文字化していない。結果的に「要約」されているがそれだけの理由がある。
地上波デジタルの場合、画面の外に字幕を表示するアウトリーチであっても、映像と一緒に見る訳だからできるだけすぐ読み取れるように表示されるべきだ。映像が動いており、かつ映像自体が多くの情報を持っている上、テロップやその他の文字の情報が加わっているからだ。

特集では、ワンセグの主要な受信機の携帯電話メーカーの取材やワンセグの字幕の問題提起をした「いくおーる」の小川編集長のインタビューも掲載されている。地上波デジタル放送の受信装置として、ワンセグ受信機は字幕や字幕表示位置はあえて?規格化されていないと聞いていたが、聞こえる人にも字幕の効用が理解されて来ているので、ディファクトスタンダードになるのではないか。しかし、この字幕がもともとは聴覚障害者が見るための字幕であることを説明しないと、音声を全て文字化した字幕がはびこりかねない危機感を感じる。

ラビット 記