難聴者運動の新しい課題

難聴者は社会の理解が不十分な上、自身にも理解するための情報や自己学習やトレーニングする機会もないままだ。

難聴者運動としては、聞えのバリアフリーの拡大やコミュニケーション支援に取り組んできたが、難聴者自身が自分を高める場を求める運動がほとんどなかった。

難聴者協会や各グループの活動に参加することが自己実現を図るひとつの形であるが、個の人間としてはもっと幅広い自己実現を求められて良い。
そのための必要なのは難聴者の「エンパワメント」(自己実現促進支援)の考え方と実際のシステムだ。

日本の難聴者は三層構造ではないか。高齢難聴者群、高齢化して難聴になり自己実現を高齢を理由にあきらめやすい。
二層目は、中途失聴者、主に成人してから聴力が低下した人々だ。社会の中軸だが社会の理解と環境整備の遅れの中で苦悩している。人工内耳装用者も含まれる。
社会経験を持ち行動力のある団塊世代もここにカテゴライズする。多様性が大きい。
三層目が乳幼児からの難聴者だ。なかなかアイデンティティが持ちにくいために自己確立が遅れている。
この中に早期から集団で聴能発語指導を受けてきた人々がいる。いま40代前半だろうか。社会との関わりを積極的に持っている人も多く、注目すべき一群だ。

これらの人々に対するエンパワメントは別々に実施される必要があるだろう。

難聴者へのエンパワメントシステムは、どのような戦略が必要かまだ見えていない。
しかし、私たち自身が関わらなければ進まない。


ラビット 記