難聴者は、「千の風になって」がどう聞えるか? 聞えのメカニズム

たまたま、Youtubeで「千の風になって」をサーチしたら、60以上もヒットした。日本でも秋川雅史紅白歌合戦で歌って、100万枚のミリオンセラーを達成した。


しかし、歌詞もメロディも記憶にない。これだけ大ヒットしているのだから、テレビやラジオでも流れているはずだが、聞く機会がないので、聞いてみようと思ったのが検索したきっかけだ。
人工内耳の前に、補聴器でどのように聞えているかを確認するためもある。


最初に聞いたのがこれだ。


千の風になって Yoko Okamura



聞える人は、すぐにあれと思うだろう。
難聴者はそれがわからないのだ。


実は、「千の風になって」のイタリア語バージョンなのだ。
関西の方で活動している岡村瑤子(おかむらようこ)が歌うイメージビデオの映像が流れる。
この口の動きは日本語だ。「・・のおはかのまえで」
http://blog.livedoor.jp/cantayoko/


これの日本語バージョンはこれ。


これを聞いても、歌詞を知らないので、口が読めない。
先のイタリア語と日本語を聞いて、同じ人が歌うこともあり、何を言っているか分からないままだ。もちろん、何語かもわからない。


紅白歌合戦で歌われたのを思い出して、探して見る。
これは字幕が付いているので、秋川雅史テノールとメロディ、口の動きを繰り返し、見て覚える。


千の風になって(秋川雅史)字幕付き



歌詞は、書き取って欲しい。ここにもあるが。
http://www.touban-art.com/sennokaze.html


彼の声は、高音失墜型の私には聞きやすい。岡村遥子の声も低い方だ。


実は、二番目に聞いたのがこれだった。宝塚歌劇宙組のトップスターたちがコーラスで歌っている。
これも聞き取れなかった。しかし、コーラスが一人の声のようには聞えていた。コメントを見ると、コーラスが良かったとあるので、聞いた感じは間違っていなかった。


千の風になって(宝塚歌劇


歌詞を思い出しながら、何度か聞いていると「聞える」。聞えているように聞える。
中途失聴・難聴者にカラオケが好きな人が多い、手話コーラスが好きな人も多いというのは、知っている音楽、歌を声を出すことで、疑似的な聞える体験をしているのだろう。同じ難聴者同士であれば、音程や調子が外れていてもかまいやしない。
頭の中にある「言葉」と「オンのつながり」を結びつけることができるからだ。それが「聞える」ということだろう。


メガネを新調しても、すぐに慣れる。しかし、補聴器を替えたり、人工内耳をしたら、何ヶ月も経たないと慣れない。それは聞えた音やオンが何の音か言葉かを覚える必要があるからだ。その確認のためには読話や字幕表記のあるビデオなどが有効かもしれない。すぐ確認して覚えられるからだ。


難聴者の聞えのメカニズムの説明の一つになっただろうか。



ラビット 記