要約筆記者の団体派遣を認めない自治体の増加


要約筆記者の団体派遣を認めない自治体が増加している。


これまで障害者社会参加促進事業で実施して来た要約筆記奉仕員派遣事業は、個人の派遣はもとより、団体を対象にした派遣も行われていた。
しかし、コミュニケーション支援事業に移行した要約筆記者派遣事業は個人の自立を促進するのが障害者自立支援法の趣旨だとして、団体派遣を「検討する」自治体が増えている。


障害者自立支援法は、障害者の自立を地域で障害者のニーズに沿って様々な形で支援するのが趣旨であり、どこにも団体での活動を支援しないとは記されていない。
また特定の団体を支援するのは法の趣旨に馴染まないという自治体もあるが、支援法と実施要項には団体を支援するなとも書いていない。


むしろ、中途失聴・難聴者は成長の過程、人生の途中で聴力を失った人々なので、社会的には孤立しており、障害者がその自立のためにいろいろな団体を結成して、障害を乗り越えて社会参加しようとするのは当然のことだ。
だから、集団での情報保障を求めて要約筆記が誕生し、発展して来たのだ。
障害者の社会参加は自覚的な団体の活動によって推進されてきた。


障害者自立支援法で、コミュニケーション支援事業が市町村の必須事業となり、要約筆記奉仕員派遣事業がなくなって要約筆記者派遣事業となったことは、要約筆記者の派遣をコミュニケーションの保障を受ける権利として位置づけられたことを意味している。


この当たり前のことを自治体の担当者の無理解のために奪われないようにしっかりと訴える必要がある。


ラビット 記