アンネット・一恵のコンサート 難聴者の音楽


昨日は仕事が早く終わったので、つれあいに薦められたコンサートに行って来た。


結論から言えば、良い音楽というか音響体験をした。
補聴器だけのコンサートの最後の体験かも知れない。


会場は白寿生科学研究所という会社のビルの7階にある反響の良いホール。

コンサートというのはみな着飾って来てるらしい。こっちはワイシャツにノーネクタイで通したが年輩の人が多い。


アンネット・一恵・ストゥルナートという人は知らなかったが、声域はアルト。
普通だと声の通る人だろう。しかしこの日のホールは反響が良い上に、ピアノの伴奏に彼女の声の音域も声質もかぶって隠れてしまう。
歌詞はほとんど聞き取れなかったが、ピアノは鍵盤が見えるように聞こえて驚いた。

途中トークもあったが、これは声が反響して全く聞き取れなかった。



石川啄木の「初恋」、野口雨情の「信田の藪」など日本の詩歌、童謡など10曲あまり歌った。聴衆は1曲ごとに拍手で応えているが、こちらは歌も分からず腕を組んでいた。幼児期は家に電蓄があって「かわいいさかなやさん」、「おさるのかごや」を覚えているくらいだ。

アンコールに応えて歌ったのが「千の風になって」で最近良く聞いているから歌詞は分かる。それでも聞き取れたのが半分位だったが、初めて拍手した。
それまでこの音に溢れた空間をどう受けとめるのか考えて、腕を組んでいたのだ。


歌詞が分からなければ歌よりは曲を聞いた方がいいかも知れないとか無伴奏の独唱を聴くのが良いかもとか。ピアノかバイオリンか、チェロが良いのか。


難聴者の音楽は聞こえたものが自分の世界。自分だけの世界。


ラビット 記